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【しごとコレクション】

自分に合いそうな仕事・興味の湧く仕事を集める

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保育士

きむら しのぶ

木村 志乃布さん

22歳・大成女子高等学校出身

  • 3次産業
  • Border Vol.1
  • 保育士
  • 女性
  • 福祉
  • 茨城県北

子どもと一緒に自分も成長しているんです。

保育士のことは何も知らなかった

私の通っていた高校は、2年生に進級する時、4つの専門コースから一つを選択するんです。保育士を目指したきっかけは、ただ単純に「子どもが好きだから」です。それで、保育・福祉コースを選びました。

短大に入って、保育園へ実習に行くまでは、子どもと触れ合ったこともなかったし、保育士になったら毎日子どもと遊べて、楽しそうっていうイメージしかありませんでした。人によっては、小さい頃から「自分は○○になりたい」と決めている人もいると思いますが、私はきちんとこの仕事のことを知らないまま始まったんです。ただ、そういうのもあっていいのかなって思っています。今、この仕事に就いてみて、本当に良かったと思っているし、動機は「子どもが好き」ということだけだったけど、結果として、毎日やりがいを感じて仕事をしています。

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学校で行ったジブリの森での一枚。この頃から子どもが好きだったことを感じることができます。

事務作業の多さに驚きました

保育士になって、やはりイメージとは違うことがたくさんありました。その一つは、事務作業がとても多いことです。子どもたちがお昼寝している時や帰った後に、その日1日のこと、子どもたち一人ひとりの様子の記録、週間・月間の予定を記入しています。その他にも、何か連絡があれば、父兄の方宛てに連絡帳を書いたり、お便りを作ったりと、様々な事務作業があるんです。こんなに先生方は書き物をしているんだと驚きましたね。今私はもう一人の先生と一緒に、4歳児30人のクラスを受け持っているんですが、子どもたち一人ひとりを毎日よく見て、昼間の様子が分からない父兄の方への連絡は、できるだけお迎えの時などに、直接口頭で伝えられるようにしています。

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お便りを作る時は、季節によっていろいろな絵を描きます。いつも子どもたちは絵を楽しみに待ってくれています。

子どもが好きじゃなければできない仕事

子どもたちは私たちを、お母さんのように感じていますので、何でも手本にしようとします。だから、子どもたちに注意していることは、常に意識して、自分もやらないようにしています。例えば、「食べながら歩いてはいけません」と言っているのに、自分も口にものをいれたまま立ち上がってしまったりすることがあるんです。そうすると、子どもたちはよく見ているので、すぐ真似してしまうんです。それから、子どもたちにたくさん笑顔を見せるようにしています。ムスッとした顔をしていると、子どもたちにそれが伝わって、子どもたちも笑えなくなってしまいます。私の場合、子どもたちが本当に楽しそうに笑うので、自然と笑顔になってしまうんですけどね。

保育園には自分で意思表示ができない小さな子どもたちもいますから、朝は元気でも、お昼を食べ終わったら、ころっと静かになっていたり、顔が真っ赤になっていたりすることがあるんです。そういうちょっとした子どもたちの変化にも気をつけなくてはいけません。また、外には遊具もありますし、一瞬目を離した隙に、大けがにつながってしまう危険性もあります。高いところに登っていたり、危険がある遊具で遊んでいる時は、必ず保育士がついて事故にならないようにしています。

また、子どもたち一人ひとりの特長にも気をつけています。活発な子は目立つので、自然と目に入ってくるのですが、内気な子は、こちらから話しかけてもうまく返事が返ってこないことがあるんです。よく観察して、その子が今何に夢中になっているのか、その子にとっての楽しいことを見つけて、話すようにしています。そうすると、子どもも安心して心を開いてくれるんです。ただ、大勢だと全員をきちんと受け止め切れず寂しい思いをさせていることもあると思うんですけどね。一日の間に話さない子がいないように全員と話していますね。

気にかけなければ、いくらでも子どもたちを見ないでいられますから、やっぱり最低限子どもが好きじゃなければいけない職業だと思います。

子どもたちのメッセージを分かってあげたい

一番戸惑ったことは、去年2歳児を担当していて、言葉をまだうまく話せない子どもが、何か伝えようとしているのに、私がそれを分かってあげられなかったことです。その子は泣き叫んでパニックになってしまい、分かりたいんだけど分かってあげられず、どうしたらいいのかとても悩みましたね。一生懸命発しているメッセージを理解してあげられないのがとても辛かったです。一緒の時間を過ごすと、少しずつ一人ひとりのことが分かってくるのですが、そうなるまでは、子どもたちには悪いことをしてしまったなと思います。

また、ここに来たばかりの頃は、なかなか子どもたちとうまく打ち解けられませんでした。手遊びをしても、友達同士で話していたり、こちらを見てくれなかったんです。自分の経験と共に、「さぁ何か楽しいことを始めるぞぉ」みたいなことをうまく伝えられると、子どもたちも興味を持って、自分を見てくれるようになります。子どもと一緒に自分も成長している感じです。

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どんなモノをどんな話し方にして、子どもの興味を引くかが難しい仕事です。子どもの目線に立つことが大切です。

周りの先生方がいてくれるから心強いんです

一度自分が見ている目の前で子どもがけがをしてしまったことがありました。その時は「私ではダメだ」とかなりへこみましたね。先輩たちの励ましもあって、これから先は絶対こういうことのないようにと自分の中でけじめをつけることができました。

また、保護者の方との子育て観の違いを埋めることも難しいです。私はできるだけ、「ご家庭ではどのようにされていますか」と聞いて、家庭の方針に合わせるようにしています。でも、いろいろな家庭があるので、それぞれに合わせるのは大変ですね。

友達の園では、若い先生が多かったり、逆にすごく年が離れてしまって先生同士が話しにくいとか、子育て観も昔と今では違うので大変なんだそうです。この園には様々な年代の人がいるので、分からないことや困ったことは、相談しながら自分なりの答えを出すことができるんです。

保育士に希望を持って勤めても、実際に働いてのギャップが大きすぎると、やっぱり落ち込んでしまいますよね。園長先生の言うことや先輩の言うことが「それが子どもにとって良いことなの?」と自分の考えと合わなかったり、自分は子どものためを思ってしたことを、ダメだと言われたり、父兄や子どもたちに受け入れてもらえなかったりしたら、とても続けてはいけません。自分の思いや考えを認めてもらえて、そして一生懸命子どもと接していける毎日を送れるということは、保育士としてすごく幸せなことだと思います。