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【しごとコレクション】

自分に合いそうな仕事・興味の湧く仕事を集める

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国際協力職員

こじま さえ

小島 早永さん

25歳・土浦第一高等学校出身

  • 3次産業
  • Border Vol.3
  • 国際協力職員
  • 女性
  • 茨城県南
  • 複合サービス

経験が浅くても、組織の代表として見られます。だから、学生のときのような甘えは通用しません。

取材者からの紹介

北海道の大学では農業経済学科を専攻していましたが、就職活動時にそれまで自分が関心を持っていたことを振り返る中で、高校生のときに関心を持ち始めた国際協力分野の職員になる決意をしました。休日は友達と会ってリフレッシュしているそうです。高い目標意識を持つ姿はとてもかっこよく、キラキラと輝いている素敵な方でした。

やらなくてはならないことがある

この仕事への興味は私の中ではまず北朝鮮への関心から始まりました。高校のときに、北朝鮮という国が貧しく厳しい状況にあるということをある本を読んで知り、それ以来北朝鮮の存在が自分の中で大きくなっていきました。「日本が国のお金を使って外国に支援をするのであれば、歴史的関係があった国に対して支援をするのは当然のことではないのか」という疑問が生まれて、「いつかそんな国に何かできないか」と思ったのがきっかけでした。(※ちなみに、国のお金を使って行う途上国への援助(政府開発援助)は、日本と国交のある国のみが対象となっているため、現時点で国交のない北朝鮮に対して援助を行うことはできません。)

「自分はなぜ日本人なのだろう」と考えることが、昔から多くありました。私たち日本人の生活は、今日や明日生きていくのに命に関わる程の危険な状況ではないと言っても過言ではないと思います。しかし、テレビをつければ、世界の至るところで戦争や内紛が起こっており、今この瞬間生きるのも困難な人たちが大勢いる中で、「自分が日本で平和に暮らしていられるのも何かの偶然にすぎないのではないか」、「辛い状況にいる人たちに対して、何か自分がやらなくてはならないことがあるのでは」と感じていました。そして、就職活動を通してJICAという組織を知り、自分が働く職場として意識するようになりました。

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オフィスでは基本的にPCを使って仕事を進めます。To Do Listを作り、終了したら線で消して漏れのないよう工夫しています。

一人でも多くの人に

この仕事では、国のお金を使って「途上国」に対する様々な支援を行っているのですが、単にお金を貸したり提供するだけではなく、「人を通じた国際協力」をモットーとしています。具体的には、日本の行政官や技術者など、専門的な技術や知識を持った方々を途上国に派遣し現場でプロジェクトを実施したり、様々な課題を抱えた途上国の行政官や技術者等を日本に招いて研修を行ったり、国の開発計画づくりをお手伝いしたりと様々なタイプがあります。私は2番目に述べた研修員受入事業を担当しています。

研修コースによってもまちまちですが、長いコースでは10ヶ月にも及ぶため、途中で体調を崩す人や、ホームシックになる人も。また、世界150カ国から受入を行っているので、研修員一人一人の文化的・宗教的背景等全ての事情を把握することは困難ですが、私たち職員は、出来る限り彼らと話をする時間を設けて、彼らが抱えている不安や悩みに応えるサポートを行っています。

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相棒の手帳です。スケジュールは全てここで管理します。手帳を忘れると落ち着かないので、肌身離さず持ち歩くようにしています。

人と人との繋がりが全て

私達の仕事は、日本の知識や技術を世界の人々に伝える仲介人のような働きであり、その意味からも、人と人との繋がりが全てと言っても過言ではありません。そのため、人と会って話をする機会が多く、どんな立場の人ともきちんと話ができるコミュニケーション能力と、どこにでも足を運ぶことの出来るフットワークの軽さが求められていると強く感じます。

仕事をする中で失敗することもたくさんあるのですが、そんな時上司から「失敗を失敗のままにするかどうかは、失敗の中で得たものを次に活かせるかどうかで決まる」と言われたことがあります。単に失敗したことを頭ごなしに怒るのではなくて、きちんと次に活かせる機会を与えてくれる上司がいることに感謝しています。とはいっても、経験が浅くても、外部の人に対しては自分は組織の代表として見られます。学生のときまでは許されていたような甘えは通用しないので、これからも日々努力していきたいと思います。

相談をしながら一番いいものを

一国の発展レベルにはゴールがありません。だから私たちが裨益者(最終的に利益を受け取る人)の方々に提供しているものが本当に正しいものなのかどうかは、正直に言っていつでも自信を持ってイエスとは言えません。だからこそ日本側の一方的な押し付けや、「私たちがやってあげている」という態度は絶対にしてはなりません。私たちはこういう機会を提供する人、あなたたちはこれを自分の国に還元して自国を良くする人たちという対等な関係と意識が重要だと感じています。援助の形態にもよりますが、どんな時も、相手の国の人々が必要としているものを日本に提案して、双方で相談をしながら一番いいものをつくり上げていく姿勢が大事だと思います。

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上司との打合わせ風景です。会議室やブースなど、会議の内容と出席者によって場所を変えます。

誰のためにこの仕事をするのか

この仕事を始めた最初の一年間は、本部と海外の事務所で働きながら仕事を学ぶOJT(On the Job Training)という新人職員研修の一環で、私はベトナム事務所で8ヶ月間を過ごしました。そこでは当然ですが、仕事の右も左も分からない半人前以下のような存在で、何もできない自分に日々悶々としていました。しかし、私が担当していたプロジェクト現場を訪問し、そこで生活している人々と話をしたとき、自分が日々行っている仕事がどんな人に最終的に行き届いているのかを目の当たりにして、大きな衝撃を受けました。また、彼らから、「日本には今までいろんな支援をしてもらい感謝しているが、私たちにはまだまだ日本の力が必要です。あなたは日本の代表として、今私たちと話していることを他の日本人にも伝えてください。」と言われたときは、これまで日本が行ってきたことが、都市から離れた地方の人にまで理解されていることに感動したのと同時に、これからも私達日本人がやらなければいけないことがまだたくさんあるということを痛感し、非常にやりがいのある仕事だと感じました。帰国後の担当業務である研修員受入事業で直接的に関わる人々は、途上国の政府関係者や研究員など特殊な職種の方々であることが多く、ベトナムで出会ったような、最終裨益者と呼ばれる一般の人々とは容易に会える環境ではないのですが、「誰のためにこの仕事をやっているのか」ということを常に意識することで、一見直接関係ないような仕事一つ一つにも、大切な意味があると考えられるようになりました。そのようなきっかけを与えてくれたベトナムでの出会いを、これからも大切にしていきたいと思います。

働くことは社会に恩返しすること

私は、働くということは社会に恩返しすることだと考えています。人間一人一人には存在意義があって、自分に自信を持つことが、いい仕事をすることにもつながっていくのではないでしょうか。私自身はまだまだそのようなレベルには達していませんが、だからこそ自分ができることと、やらなくてはいけないことをきちんと理解し、果たしていきたいと思います。この仕事は人との繋がりがすべてと言っても過言ではありません。そして、上司、先輩職員や周囲の関係者だけでなく、世界中の人々からエネルギーをもらえることが最大の魅力です。私も早く、周囲の人にエネルギーを与えられるような人になりたいです。

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高校時代、応援団のマネージャーをしていました。女子生徒が多い異色集団でしたが、みんな学ラン姿が凛々しいですよね?

先輩上司から一言

若手職員の方には、周りの先輩・同僚からサポートが得られるような中で仕事に取り組んでもらうようにしているということが、上司として一番私達が気をつけているところですね。一人で悩むことなく、上司や周囲の先輩職員と相談しながら仕事に取り組み、その結果として、自分自身のやりがいを感じて元気に生き生きと仕事に取り組んでもらえればと考えています。

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