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【しごとコレクション】

自分に合いそうな仕事・興味の湧く仕事を集める

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バリスタ

たぐち ひろゆき

田口 博之さん

29歳・水城高等学校〜東京経済大学出身

  • 3次産業
  • Hope Vol.6
  • バリスタ
  • 男性
  • 茨城県央
  • 飲食サービス

好きだけじゃやっていけないこともある。けれど好きという思いは大切な感情。

取材者からの紹介

本来は私がリラックスして話せる雰囲気をつくらなければならないところを、逆に田口さんが、ガチガチに緊張した私をリラックスさせてくださいました。田口さんの雰囲気づくりで取材が進み、話に詰まったときは助け舟も出していただきました。話すことが上手なのはもちろん、何より話しやすい雰囲気を持っている方で、取材の中で学んだ「コミュニケーションは話すことだけが正解じゃない」ということを実感しました。

もともとカフェのリラックスした雰囲気やフレンドリーな接客がしたくてカフェで働くようになりました。そこで手に職をつけたいと思ったときにバリスタという職業を知って、やってみようかなと思ったのがきっかけです。バリスタは、日本だと「コーヒーを淹れる人」というイメージが定着してるんですけど、本来は「イタリアのバールという立ち飲みや食事ができる場所でドリンクやサービス全般を行う人」のことなんですよ。コーヒーも淹れるしお酒もつくるし接客もするし、必要があったらちょこっと料理もします。

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高校時代、お酒の販売店でのアルバイトがバリスタの入口だったのかもしれません。(写真中央)

うちに来るお客様の特徴は、年齢層が幅広いということ。学生さんが来ることもあれば、90歳ぐらいのおじいちゃんまで来るんです(感謝)。だから、その人に合わせた話が出来るように話の引き出しを持ってなくちゃいけないんです。お客様に合わせたサービスの提供も必要。それが大変でもあるし、面白いところでもありますね。昔は、お客様と話せない場面もたくさんあって苦労しました。そうならないように、いろんな話題のチェックは欠かせないですね。以前は、興味が無い分野だと「おれは知らないし」とか「それはいいや」って流していました。バリスタになってからは「ああ、そういうことも面白いんだ」といろんなことに関心を持つようにしています。学生の頃って、仲間うちで固まってしまうことが多く、年上の人と接する機会はあまりないですよね。自分もそうで、アルバイトのときにちょっと年上の人と接するぐらいでした。けれどここで働くようになって、少しずついろんな年齢層の人と話せるようになってきましたし、世代に合わせたコミュニケーションも少しずつ取れるようになりました。自分が話すだけではなくて、相手の話を聞くことも重要です。話すだけが正解じゃないんだというのは感じますね。最初は何を話したらいいか本当に分からなくて、ずっと沈黙の時間が続いてしまうこともありましたが、2年間働いてみて、話さなくてもいい空気をつくり出せるようになりました。バリスタは空気を読むだけではなく、空気をつくり出せる人がすごく向いているのです。

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仕事は楽しくやりたいですね。仕事が忙しくなってきたり、怒られたりすると、どうしても顔がこわばってしまいます。そういう雰囲気はお客様に伝わってしまうし、コーヒーの味に結構出るんです。「バリスタはカップに出る」と結構言われたりします。テンションが低かったり、調子の悪いときは、コーヒーもおいしく淹れられないことがあります。だから、なるべくリラックスした雰囲気でやれるように心掛けています。

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いろいろと経験を積む中で、やっぱり「好きなだけじゃやっていけない」という現実的な部分も見えてきました。飲食店もつぶれる時代、好きで働くことも重要ですが、それだけでは続かないんです。こんな思いがでてくるのも責任を感じているからですかね。時々、「他の仕事をやっておけばよかった」と考えることがあります。楽な仕事なんてないと思いますが、もうちょっと楽な仕事があったんじゃないかって・・。でもそういうときに限ってお客様が「おいしかったよ」とか「田口さんのコーヒーが飲みたかったから来たんだ」と声をかけてくれてるんです。そういうふうに言ってもらえると、やっぱり続けたいなと思います。お客様に励まされ、助けられているということなんですね。その感謝の気持ちが、やりがいであり、成長なのではないでしょうか。もちろん、好きであることが一番重要な気がします。「好きこそものの上手なれ」ってよく言いますもんね。

うちのお店は年齢層が幅広いとはいえ、まだまだ若い人の来店は少ないです。やっぱり若い人たちにもおいしいコーヒーやワインを飲んでもらいたいんですよ。ただ、こういうお店って若い人にとってはちょっと入りづらい雰囲気があるのかもしれませんね。お客様の年齢層も結構高いし、接客されてもかえって緊張してしまって、どうして良いか分からなくなってしまうみたいです。でも、その緊張をほぐしてあげるのも、「バリスタ」の仕事なんです。緊張から開放されると、いろんな楽しさが生まれてきます。周りのお客様と積極的に話しができるようになりますし、そこからいろんな情報を入手することもできるんです。これって面白いし、勉強にもなりますよ。若い人にもっともっと関心を持ってもらって、街を盛り上げたいです。おしゃれもしてもらって、いい音楽も聴いてもらって、おいしいお酒も飲んでもらって…。そういう流れを楽しむ若者が増えることで、街が活性化してくるんじゃないでしょうか。そのためにも、気軽に楽しんでいただける雰囲気を提供できる、一歩上のバリスタを目指したいですね。

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先輩上司から一言

彼はすごく真面目で、一生懸命なタイプ。一貫して全てがそうなので、すごいなって思います。理想が高すぎて、現実とのギャップに着いていけず、あきらめて辞めてしまう人が多い中、彼はあきらめないんです。等身大での仕事ぶりがその源なのでしょう。今後は、「自分のお店」というつもりで、経営を意識した取り組みで頑張ってほしいと思います。そして、うちのお店をもっともっと良い店にしてもらいたいですね。

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