しごとCHANNEL365【シゴトチャンネルサンロクゴ】

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【しごとコレクション】

自分に合いそうな仕事・興味の湧く仕事を集める

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看護師

  • 3次産業
  • Hope Vol.8
  • 医療
  • 女性
  • 看護師
  • 茨城県北

患者さんの心と体、健康を支えたい。そして、人の痛みのわかる看護師でありたい。

取材者からの紹介

子どものころからの夢を叶えて看護師になった彼女。気さくに話してくださる姿を見ていると、とても耳が聞こえない方とは思えませんでした。患者さんとそのご家族の方とコミュニケーションをとって、心と体のケアに努めようとする真摯な姿勢を持っている方です。彼女の優しい笑顔に元気づけられる患者さんも多いと思います。洞察力と観察力で患者さんが言っていることや欲しがっているものを察しながら、明るく接することができる素敵な看護師さんでした。

会話の中で新しく生まれた質問をその場で紙に書いていたため、時間がかかる取材になってしまいました。でも気さくに話してくださったので、時々間が開きながらも充実したインタビューをすることができました。

心のケアも重視

私は小学校2年生のときに脳炎にかかり、手の施しようがない状態にまでなったのですが、お医者さんや看護師さんのおかげで一命を取り留めました。その時、お世話になった看護師さんのテキパキと働く姿に憧れて看護師を目指すようになり、3年課程の専門学校に入学しました。学生時代は同じ道を歩もうとしている仲間とともに、看護実習中どうすれば患者さんに良い看護ができるだろうかと苦悩の日々を送りました。そして卒業後、無事に21歳で看護師になることができました。

看護師の仕事内容は、医師の指示で行う点滴処置や適切な治療介助です。患者さんの話を聞いたり触れたりすることで、直接薬を使わなくても痛みを和らげたり、不安が緩和されたりする心のケアも重視して行っています。

この仕事のやりがいはたくさんありますが、やはり患者さんが元気になっていかれることですね。特に自分が関わったことで元気になる姿を見るとやりがいを感じます。一方で、亡くなっていく方もいらっしゃいます。でもその方が自分らしく生きていくためのお手伝いができたり、家族の方に「よくしてくれてありがとう」と感謝の気持ちを言われたりすると嬉しいですね。認知症の方にも名前を覚えていただいて「ありがとう」と言われると、印象に残ることができたのかなと思います。心に残っているエピソードは、数え切れないほどたくさんありますね。

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高校時代(右側)

看護師として働き続けたい

明らかな原因は今でも分かっていないのですが、脳炎にかかった後から耳が徐々に聞こえなくなりました。結局難聴になりましたが、仕事を続けたいという気持ちは決して変わることはありませんでした。看護師になることは昔からの夢だったので、一度もほかの職業に就きたいと思ったことはありません。しかし、やはり最も重視しなければいけないのは患者さんの命なので、私がやりたいからといって命を守れる保証はありませんし、耳が聞こえる看護師さんと全く同じようには働くことはできないので不安もありました。それでも看護師として働き続けたいという気持ちの方が強かったですね。

以前は耳が聞こえる状態で働いていましたが、今は全く違う状況なので、絶対にミスをしないことを心掛けています。耳が聞こえないことで不安になる患者さんや家族の方もいらっしゃいます。その心配を最小限にするために必ず確認をとり、重要なことは必ず書いてメモに残します。障害を持っていても持っていなくても、ミスをしないことが一番大切です。それができれば、何だって仕事はできると思っています。

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両親を尊敬しています

自分でできることが少なくなってしまった私のことを、自立させてくれた両親を尊敬しています。自立とは、いただいたお給料の範囲内で自分で生活をしていくことだと思います。それと、自分で何ごとも決定していく“強い心”を持てることも自立ですかね。でも親の手を借りて自立できることも、一つの自立だと思います。例えば、障害があって親の支援や助けがないと生きていけない方でも、自分でできることが増えていけばそれも自立です。人それぞれ、自分なりでいいと思います。

病院のスタッフの方も尊敬しています。耳が聞こえない人間を受け入れるのは不安だったと思いますが、スタッフの方々がとても協力的で、入職したてのころは私が一番年下だったこともあり、よく面倒を見ていただきました。ほかのスタッフとの距離が近づいて仲良くになるにつれ、皆さんの意思を早く汲み取れるようになりました。観察力も徐々に付いてきたので、予測が早いと言われるようになりましたし、先が読めるようになったことで自信がついてきましたね。今ではもう皆さん慣れてくれて、いちスタッフとして接してもらっています。筆談やジェスチャーをしていただいて、たまに簡単な手話もやってくださる方もいます。仕事では相手の口や目を見て話して、ジェスチャーなどの手の動きや全身を観察して察するようにしています。

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痛みのわかる看護師に

支えているものは、患者さんの心と体の健康です。少しでも誰かの光や支えになりたいと思っています。この仕事を始めるとき、障害を持った看護師さんを探したことがあったのですが、なかなかいらっしゃらなくて…。障害のせいで遠慮している方が多いようなので、自分がしたい仕事をできない方がいらっしゃるのではないのかと思い、障害を持った方のためになれないかなという気持ちで働いています。

障害を持っていたとしても、決して自信を失うことばかりではありません。耳が聞こえなくなったことで、相手は本当は何を欲しがっているか、何を考えているのか読み取れるようになりましたね。言葉では「大丈夫」って言っている方でも、日ごろの表情との少しの違いに気付くことができるようになりました。

耳のこともありますが、私は喘息やいろいろな病気にかかって苦しんだ経験があります。小さなことでも、その人にとっては大きな痛みだったり苦しみだったりするのです。些細な変化や感情だけでなく、すべてにおいて人の“人の痛みがわかる看護師でありたい”そう思っています。

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