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【The TOP ~社長の仕事~】

社長って普段どんな仕事しているの?

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株式会社久松農園 代表取締役

ひさまつ たつおう

久松 達央さん

茗溪学園高等学校~慶應義塾大学 経済学部出身

もっと簡単な仕事だと思っていた

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「農業くらいだったらできるだろう」って気持ちが全然なかったっていうと嘘になるんですよ。28才で始めたんですけど、それまでの28年間やってきたことを全力で毎日出して、ようやく1日を乗り越えられる、そういう感じでした。1年目は小松菜とかほうれん草とか簡単なものしか作れなくて、トマトとかも果敢に植えていましたけど全く採れずに終わって、初年度からバリバリ黒字のつもりでしたが、年末の決算で大赤字でしたし。採れないものは仕方ないので研修時代にできた人脈をたどって、先輩に頼んで作ってもらいました。仕入れに回りながらいろんな先輩に教えてもらい、3年位経ったら失敗はありますけど大体は自分で作れるようになりました。そんな感じでもう20年くらいやってきたのに、まだこんなに全力でやらなきゃいけないものかと(笑)。段々楽になるかなと思っていたんですが、手を抜けるようになるとかは全く無いですね。

親や教師の言うことを聞くな。

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今の時代、模範になるキャリアパスなんて何一つないですから。僕らの親の世代の人達は「いい大学出ていい会社入れば幸せだ」って本当に言いましたからね。嘘をつけこのやろうって思います(笑)。彼らはすごくダイナミックに日本が動く時代を過ごした世代だからそう考えるんでしょうけど、言っちゃ悪いけど年率十数%で経済が成長している時なんか何やっても利益上がりますからね。今はそうじゃない時代だから、結局好きな事をやるしかないんですよね。
僕が会社を辞めた時も親には反対されましたし、特に妻のお母さんには「うちの娘を不幸にしないで」って言われたんですよ。結局、自分の両親も奥さんの両親も認めてくれたのは本を書いてからかもしれないですね。それまでも食うに困ったわけではないし、親をがっかりさせるようなことはしてないつもりだったんですけど、社会的に認められたって思うのはそこなんですよね。上の世代を悪く言うわけではなくて、人はそれぞれが自分のストーリーの中で生きているわけだから、他人の言う事に合わせて人生を決めちゃだめだなって思います。
最近も「農業やりたいんだけど親が反対して」っていう人が来ましたが、「親が反対してできないならやるな」って僕は思ってて。やりたいことをやりたい、つまり己の価値観を貫きたい、でも他人からも祝福してほしいと言うのは甘いんですよ。それらがバッティングした時に己の価値観を取る人間じゃないと起業なんて出来ないと思っていますし、他人の意見を取り入れるとその人も満たさなきゃいけなくなるから、ビジネス的に危ういんです。ただ好きな事をやるだけじゃなくて、ちゃんと利益もあげてかなきゃいけないですし。好きな事を仕事にするっていうと、「過去の資産にぶら下がって生きていく人」に見えちゃうから上の世代は反対するんだけど、そうじゃなくて、どんな仕事であろうと、ちゃんと実経済回していかなきゃいけない時代じゃないですか。だから現代の若者には、「君たちの好きな事を今までの例に捉われずにやって、利益を上げて、次の世代にバトンタッチしてください」って思っています。ただし、失敗しても他人に文句は言わないこと。

野田知佑 「新・放浪記 旅へ」

上の世代が分かってくれない、ゆとり世代だとか悟り世代だとか言われちゃう人に読んでほしい本です。「早く就職しろ」という言葉を無視して世界を放浪する話で、例えば、ギリシャで旅行中にパスポートを無くしてしまって、大使館に行ったらば全く冷たい対応をされるんです。そこで、本を書いた当時の野田知佑だったら「こういう時の為にお前らは仕事をしているんだろ」と反論するんだけども、当時は全くその言葉を持っていなかったからカウンターから引きずり出して殴ってしまったんだとか。その他では、彼女の親に会いに行った時に、特技を聞かれるんですね。今の自分だったら堂々と「無賃乗車と素潜り漁です」と答えるところを、当時はそういう言葉を持っていなかったからただ黙って「何もありません」というしかなかったという所とか、すごくぐっと来ました。だから、コミュニケーションがどうこう言われてしゅんとしている若者が読んだらすごく面白いんじゃないかと思います。

著書紹介

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『キレイゴトぬきの農業論』出版社: 新潮社 (2013/9/14)

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『小さくて強い農業をつくる』出版社: 晶文社 (2014/11/25)

詳しくは→http://hisamatsufarm.com/book

会社概要

筑波山のふもとで年間50品目の有機野菜を育て、消費者や飲食店に直接販売しています。つくることから売ることまで手がけることで、自分たちのつくりたいものを、流通の制約を受けずに、食べてもらいたい人に届けることが出来ます。「好きなことでメシを食う。」自由で新しい農業でそれを実現している農園です。

会社名 株式会社久松農園
設立 平成11年
従業員数 7名
資本金 100万円
事業内容 有機農産物の生産販売
農業人材育成・コンサルタント
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