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【しごとコレクション】

自分に合いそうな仕事・興味の湧く仕事を集める

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トリマー

かなざわ ゆきこ

金澤 有紀子さん

25歳・私立常磐大学高等学校出身

  • 3次産業
  • Border Vol.4
  • トリマー
  • ペット
  • 女性
  • 小売
  • 茨城県央

些細な変化に気づいて、人間とワンちゃんの生活をよりよくしていくのも、トリマーの大事な仕事の一つです。

取材者からの紹介

ワンちゃんや飼い主さんとのコミュニケーションを大切にし、明るく元気な笑顔が絶えない女性です。常に新しい技術にアンテナを向け、積極的に取り入れていこうとする姿勢から、仕事に対する意欲や向上心が伝わってきました。

犬の魅力にはまっていきました

体を動かすのが好きで、高校では陸上部に所属していました。朝練やって、授業が終わったらまた練習だったので、高校時代は部活のイメージしかないです(笑)。

卒業後は、推薦をもらって短大へ進学しようと考えていたのですが、「将来やりたいことや、これだというものがないのなら」という母の勧めでこの道に進むことを決めました。母は当店の社長なんですけど、それがこの仕事に就いた直接のきっかけですね。

もともと犬は好きだったのですが、実はそこまで興味を持っていたわけではないんです。でも、この仕事を始めてから犬の魅力にどんどんはまりましたね。犬はしゃべることはできなくても、人間の3~4歳児くらいの頭脳は持っているので、訓練をすれば能力を引き出せますし、犬種によって遊び方や、反応のし方が違うんです。賢い犬もいれば、ぼけっとしている犬もいて、それぞれ性格が違って面白いです。同じ犬種でも、犬によって、表情や考え方、アピールの仕方も全然違いますね。

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女子校だったので、女の子同士とても仲良く充実した高校生活が送れました。

ライセンスの取得は自信をつけるために

トリマーは人間の美容師さんのように国家資格はないんですけれども、公認のライセンスはあります。ライセンスは義務ではないので取得しなくてもトリマーになることはできます。ただ、専門学校を出ずにすぐお店に入ってトリマーとして働くのは、難しいです。基本的な知識でしたらお店で学ぶこともできるんですけど、トリマーは動物の命を預かる仕事でもあるので、やはり専門学校を出て、専門的な知識や技能を身につけて頂いたほうがいいと思います。

専門学校では、トリミングやカットの技術、AHT(動物看護師)としての獣医療の勉強や、犬の歴史やルーツ、器具の取り扱い、トレーニング(しつけ)の授業もあります。

専門学校を卒業するとライセンスが取得できる場合が多いのですが、やはりライセンスを取得したほうが、お客様に対しても自分に対しても自信がつくと思います。

些細な変化に気づく

トリミングには大体の方が月に1回、多い方で週に1回は連れて来てくださっています。トリミングって、贅沢なイメージがあるかもしれませんが、犬は全身毛で覆われているので、やはり犬の健康を考えると、定期的にトリミングに来てくださったほうがいいですね。

1回のトリミングで、最低でも3~4時間はかかるので、その間に、私たちで気づけることがたくさんあります。例えば、太りすぎ、やせすぎ、毛のツヤ、目の充血、歯石の付着とか、皮膚表面の腫瘍、イボなどです。トリマーはお客様のわんちゃんの体のすみずみまで細かくチェックできるので、湿疹とか発疹とかいったトラブルや、些細な変化にも気づくのです。トリマーの仕事はカットやシャンプーはもちろん、その子の全体を触れる仕事なので、些細な変化に気づいて、飼い主の方にお知らせするのも大事な仕事の一つです。

信頼関係を築くために

お客様との信頼関係を築くために、うちは動物病院のようにカルテを充実させています。その日のトリミングの内容はもちろん、受付のカウンセリングの際にヘルスチェックを行って、持病や飲んでいる薬の確認をしているので、その内容もすべて書いてあります。獣医ではないので病気を治すことはできませんが、できる範囲のアドバイスを行っています。「足裏をなめて赤く腫れています、病院へ行ってください」とアドバイスをすると、「気付いていただいてありがとうございます」ととても喜んでいただけますね。

私は、お客様を見て、どの子の飼い主さんなのかがわかるようにしています。「○○ちゃん、いらっしゃい」って笑顔で呼ぶと、お客様も「一人ひとりまでわかってくれてるんだ」と安心しますよね。それを目指して努力しています。お預かりしたペットには、「○○ちゃん」と愛着を持って接しています。ペットは家族の一員ですし、事務的な対応をされたら不安になりますもんね。

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仕事は楽しんでやるように心掛けています。当社のスクール部門で、アシスタントとして生徒指導をする時も、生徒の見本になるよう常に笑顔で接するようにしています。

犬が喜ぶ姿を見るのが好き

ワンちゃんをキレイにしてお返ししたときに、一番喜ぶのは飼い主さんです。でも、「ありがとう、きれいになったね」って、飼い主さんが高い声を出してにこって笑った表情を見て、その犬はもっと喜ぶんですよ。きれいになった自分を見て、自分の大好きな人が喜んでいると、やはり犬も嬉しいんですね。犬が喜ぶ姿を見るのが私は好きなんです。トリミングした日は「○○ちゃんきれいになったね」って、いろんな人に触られたり、だっこされたりしますよね。「きれいになったね」と、注目を浴びてうれしそうにしている犬を見ると、私もうれしいですね。

飼い主さんの理解も必要

飼い主がいないところで施術するのでお客様との信頼関係が重要な仕事です。こちらが誠意を持って対応してもわかっていただけなかったときは、ショックを受けますね。例えば、「トリミングを受けた後に、眼や耳がおかしくなった」とか。受付の際にお客様と確認して「目がちょっと赤いので、お顔のシャンプーは控えますね」といった対処をきちんとしているので、そのようなことは滅多にありませんし、大抵はわかっていただけるんですけど、それでもわかっていただけないときは辛いですね。

あとは、飼い主さんにもトリミングの知識をもう少し持っていただけたらと思いますね。ペットの状態によっては、トリミングによって負担がかかることもあるんです。人間の頭と違って、ワンちゃんは全身のカットだけで最低1時間~1時間半、大型犬ですともっとかかります。乾かす時間も、早くても30分くらい、中には1時間かかる子もいますね。トリミングでは、毛玉やもつれで固まった毛を1時間近くとかし続けることもあるんです。あまりに無理な場合には、ワンちゃんに負担をかけたくないので、カットしたりハサミを入れてからとかしたりもします。嫌がってかみついてくる子もいますし、実際に私もかまれたことがあります。でも、それは痛いサインだからしょうがないのですが、けがを負ってしまうのはプロの対応ではないので、お客様のご了承を得てカラー(首に巻く保護具)を巻いたり、口輪をしたりして対処をします。

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仕事をする上で必要不可欠なシザー&コームです。長く使用するものなので大切にしています。

最先端のこと、新しいことに挑戦していきたい

お客様から「あのお店は他とはちょっと違うよ」とか、「あそこに任せておけば安心だよ」とか、そういったお声がどんどんもらえるように頑張っていきたいと思います。

犬にとっても飼い主さんにとってもいい方向になるように、最先端のこと、新しいことに挑戦していきたいです。うちの社長がそういった考え方なので、その力になれればと思っています。今は全然頼りなくてまだまだ社長には及ばないんですけど、ゆくゆくは跡を継ぐ身として、A級ライセンスの取得などのスキルアップをしながら、精進していきたいと思います。

先輩上司から一言

一番は、プロフェッショナルを育てようと思っています。動物の仕事って縁の下の力持ち的な面が多いので、やり始めてみて、こんなに大変だったのかというふうに気がつくことが多いんです。でも、最後に生き残るのは、本当のプロフェッショナルだけだと思うんです。上っ面だけのファッション的な面だけをとらえるのではなくて、動物に対する思いや、責任感、動物を扱ううえでプロフェッショナルならどうするかなどもスクールのうちから教えるようにしています。スタッフは働いてもらいながら一人前になってほしい。だから、5年後でも10年後でも、この業界に1人でも2人でも残って、ここで学んだことを基に、大きく羽ばたいてほしいと思っています。

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