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【しごとコレクション】

自分に合いそうな仕事・興味の湧く仕事を集める

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建築士

なかじま たかあき

中嶋 隆明さん

24歳・群馬県立富岡高等学校出身

  • 2次産業
  • Border Vol.1
  • 建築士
  • 建設業
  • 男性
  • 茨城県南

24歳で、現場を任せてもらえることってすごく幸せなことじゃないかって思う。

設計士と現場を繋ぐ

現在の仕事は、現場を管理している施工者という役割です。お客さんが設計士に要望を伝えると、設計士が図面を起こします。それを元に、現場で実際に作業する大工や、設備屋と打ち合わせしながら、建物を建てていくのが施工者です。お客さんと施工者を繋ぐのが設計士、設計士と現場を繋ぐのが施工者の役目です。

可能性がたくさんある

高校時代は全く何も考えてなかったですね。遊んでいたし、専門学校に進学を決めたのも高校3年の3月で(笑)。最初は進学するつもりが、行きたい大学に行けず、浪人する気もなかったので、じゃあやりたいことやろうと思って建築の道を選びました。

本当に単純ですが、小・中学校と工作が好きだったんです。モノができ上がるまでの手段がたくさんあって、「俺だったらこういう風にやるのに」と思いながら、違う人はまた違うやり方をしていて、個人の考え方が思いっきり出て、可能性がたくさんあるのがすごく面白く感じたんです。

とりあえず、やってみてダメだったら違うことをやってもいいやと思っていたし、たまたま良い結果になって今続けているだけだと思うんです。

やりたいという意志があるのに、何もやらせてもらえなかった

専門学校で二級建築士の資格を取り、地元の工務店に就職しました。これといって特徴のない、ハウスメーカーの建物を扱っている会社でした。入社したてというのもあったのかもしれないけれど、全然仕事がなくて、現場から戻ってデスクに着くと何もやることがなく、やりたいという意志があるのに、何もやらせてもらえなかったんですね。それに、家の間取も形が決まっていたので、お客さんの要望を一から形にするのではなく、決まった形から選んで、お風呂を少し広くするとか、多少いじる程度でした。自分はこれからどんどん仕事して、力をつけたいと思っているのに、周りは保守的な人たちばかりで、ハングリー精神がなく、そこにすごくギャップを感じ、ここで学ぶことはないと思って辞めました。自分が求めていたものとは全く違ったんです。

どんな打合せをしているのかこっそり勉強

前の会社を辞めても、もう少しこの業界で勉強したいという思いがあって、求人誌や建築関係の雑誌を見ていた時、たまたま今の会社を見つけたんです。特に求人していたわけでもなく、行き当たりばったりで電話をかけました。そしたら驚いたことに受け入れてくれると返事をもらえたんです。

引越し資金がなかったので、仲良くなった大工の手伝いや、レストランで1年間バイトをしました。当時は無駄なことをしているような気がしたんですが、今思えばやって良かったです。建築業って違う業界の人と出会うことがほとんどないから、そこでまた違う視野を広げることができました。

そして、お金を貯めて1年後に群馬から茨城へ来ました。最初の1年は、施工者の先輩に付いて、言われたことをやったり、材料を運んだり、現場で様々な軽作業をしていました。作業しながら、どんなことを話しているのか、図面から実際にどんな形になっていくのか、その形にするためにどんな打合せをしているのかこっそり勉強したんです。そして1年後、「おまえもそろそろやってみるか」と今の仕事がスタートしました。

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図面を見ながら、設計士のイメージした家を正確に大工さんに伝えることが大切です。

家と合わせて自分も成長

今、1軒の家を任されています。初めて自分の担当を持てて、びびっていますけど、めちゃくちゃ嬉しい。まだ一人前じゃないけど、やっとスタートラインに立ったのかなって。今の現場は、半年前にスタートしたんですが、半年前と今の自分では、自分でも分かるぐらい変わりましたね。初めて現場に立った時は、設計士の図面通りに進めることしかできなかったけど、今は、自分の提案をできるようになったんです。どこを見たらいいか、別のやり方もあるんだとか、明らかに変わっていますね。家が日に日に形になっていくのに合わせて、自分の成長も実感しています。

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自分が初めて担当している家。これから何十年も残るものなので、心をこめて作業しています。

自分のやっている事には誇りを

現場で接する人は、だいたいが経験豊富な大工です。自分みたいな若造が現場を仕切って、設計者の意向を伝えなくてはいけない。自分の立場から、相手に指示するのではなくて、経験がない分、頼るところは頼る、提案したい事は提案するというようにしています。事務所に戻って遅くまで図面を考えて、次の日の朝、大工に見せに行くのが楽しいんです。努力が相手に伝わることで、きちんと対応してくれるんですね。

現時点で一番だと思うようにやって、どうなるのかだと思うんですよ。8割の力でやって「あぁやっぱりな」と思いたくないし、2割手加減したからこうなったと思うのは嫌なんです。10割やってダメだったら、どこが悪かったのか、次はこうしようと考えないと成長できない。

誰でも自分のやっているものには誇りを持ちたいと思って仕事しているんだと思う。それはここで教わったことですね。何を遅くまでやっているのかと思ったら、すごく細かなことを、夜遅くまでやっているんです。手間をかけなきゃそれでもできるんですが、それを惜しまずやる先輩たちを見た時、カッコイイと思いましたね。それが自分の作ったものに対する誇りになってくるわけで、どうでもよかったらそんな遅くまでやったりしないですよね。

今やろうとしていることをやってみたらいい

自分のように現場に出ないで、設計からスタートする人もいます。ただ、自分は今のほうがいいと思っています。現場では、絵では表現できない部分が出てきて、そういう部分の話ができるようにならないといけないと思うんです。四苦八苦しながら現場で経験したことが、いずれ設計士になった時、いろいろなところに目が行くようになる。そして自分が独立する時は、それまで勉強したことに自分の考えや経験を足して、自分だけの新しいスタイルを作らないといけない。ここで学んだままの同じ自分では勝ち目はないですからね。

建築の仕事は今の自分の生きがいだけど、将来的にはどうかはわからない。これから先、何かで面白くないって感じたら、トラックの運転手になっていることもあるかもしれない。別にそれも間違いじゃないと思う。結果はすぐに見えないし、何をやろうって迷うんじゃなくて、今やろうとしていることをやってみたらいいって思います。自分だって地元で挫折していたら、多分今頃この会社にいないだろうし、フリーターだったかもしれないですよ。だから将来もこれを続けていたら、初めてこの道を選んだ結果が見えてくるんじゃないですかね。

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図面通りに建設されているかを確認するためには大切な道具です。