しごとCHANNEL365【シゴトチャンネルサンロクゴ】

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【しごとコレクション】

自分に合いそうな仕事・興味の湧く仕事を集める

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バス運転手

ぐんじ たかし

軍司 崇さん

25歳・水戸農業高等学校卒業

  • 3次産業
  • Border Vol.2
  • バス運転手
  • 男性
  • 茨城県央
  • 運輸

お客さんの命をあずかっているということは常に忘れない

好きなことをひたすらに

高校生の頃は将来について具体的には考えてはなかったんですが、バイクを運転することが好きだったので、トラック野郎になりたかったですかね(笑)。親も自分のやりたいことをやれという感じだったので、それに甘えて伸び伸びとしていました。将来何をするかよりも、とにかくバイクの運転が大好きで、バイクのために必死に寿司屋でアルバイトをしていました。あの頃は常に今を楽しく生きることを考えていましたね。だから就職活動らしいことはしていなくて、たまたま同級生の家が土建屋さんで、「うちで働いてみるか?」と誘われたことがきっかけで就職が決まりました。高校を卒業してから3年くらい、重機を使って打ち壊し作業をしたり、ダンプを運転したりする土建業で働いていました。

バスの運転手に転職したのは、前職がきつかったというわけではなくて、もともと車の運転や遠出することが好きということと、何より観光地に行けるというところに一番の魅力を感じて、観光バスの運転をしたいと思ったからなんです。それで、22歳の時にバスの運転手になるために、大型二種免許を取りました。

免許をとってすぐ、知り合いの運転手さんに相談をしたら、今の会社を紹介してもらい、まずは契約社員としてお世話になることになりました。最初は「観光地に行ける」なんて軽い気持ちで入ったのですが、お客さんの楽しんでいる顔を見ることができて、今思うと別の意味でとても魅力のある仕事だなって感じています。

不規則な勤務形態

最初は路線バスだけだったんですが、今は、観光バスの運転も担当しています。路線バスの運転の時は早番と遅番があり、早番の場合は始発が午前6時ぐらいから運行するので、運行前の準備・点検の時間を考えて午前5時半くらいに出勤します。観光バスだと時間は関係なく夜行運転の時もあるので、午前2時・3時の出勤や、夕方5時の出勤など、時間がとても不規則なんです。初めはその勤務形態に慣れなかったですね。だからいつでも睡眠時間をしっかり取るようにしています。

路線を覚えるのにも一苦労

路線や地図を覚えるのには苦労しましたね。路線バスは一人がいつも同じルートを担当するのではなくて、全部の路線を交番制(全員で交代しながら)で運行するんです。最初の頃はバス停がどこにあるのかも分からなかったので、見落としちゃうこともありました。だから、覚えられないところは、仕事帰りに自家用車で何回も確認しに行ったこともありました。電柱に隠れていたり、夜になると暗くてわかりづらくなったり、見落としやすいバス停はノートに目印や注意点をメモして、乗務の時に再確認するようにしていましたね。

路線に出て最初の頃は、2週間くらいかけて先輩と全路線を回り、わからない時には聞きながら覚えていきました。そして先輩から合格をもらえたら、最終的には所長に乗っていただいてOKが出ればひとり立ちです。

一人で路線に出るようになったばかりの頃に、これは参ったなという失敗があって、路線を間違えてしまったことがあったんです。あれはヒヤッとしましたね。運行中は次のバス停の案内アナウンスを流すんですが、音声が流れた時に「あれ?違う...」と気付きました。お客さんはだいたい常連さんなので、間違った瞬間「どこに行くんだ?」と...。その時はひたすら謝って謝って「道を間違えてしまったので、バックして戻ります」とか「車を回せるところまで行って戻ります」とかアナウンスをして、元の路線に戻りました。お客さんが降りる時にもう一度謝りましたね。今は路線が頭に入っているんで、間違えることはありませんが、その時は本当に焦りましたね。

観光バスの運転は、まだ始めたばかりなので、ルートを覚えることに必死です。その日通るルートを前日までに決めるのですが、まだ右も左も分からない状態で、先輩の運転手のところへ地図を持って行って教えてもらいながらルートを決めています。ただ、当日の交通状況などで決めたルートと違うところを通ることもあるので、休憩時間にひたすら地図を見て道を覚えています。お客さんが観光していて、空いている時間がたくさんある時は、その土地について何も知らないわけにはいかないんで、バスの外に出て自分でも少し辺りを回るようにしています。本当は、訪ねた観光地についての知識や、自分でお勧めできるスポットなどをお客さんに説明できればいいんですけど、今はまだそれどころじゃないですね。

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運行前の交番の確認は欠かせません。何本もの路線が入り組むように走っているので、路線ミスのないように責任をもって運行しています。

安全運転第一で

バスは、時刻表通りにバス停に着かないといけないので、路線によって運転する速度を変えるよう指導を受けています。運転をしながらバス停にいるお客さんと、周りの交通状況も見なくてはいけないので、最初は運転することでいっぱいいっぱいで時間を気にしている余裕がなかったですね。時刻表より遅れた時は「お待たせしました」と一声かけたり、事情をアナウンスしたりとにかく謝っています。時々お客さんの言葉に理不尽さ感じることもありますが、お客さんも時刻表通りの時間に来ると思ってずっと待っているわけだから怒る気持ちもわかります。雨の日は特に大変で、道路も混みますし、外も見えにくいし、停車の時に水溜りがで水がはねないように注意したり、とても神経を使いますね。

どんな状況でも"お客さんの命をあずかっている"ということは常に頭に置いて、それだけは常に忘れず、安全運転第一で運転するということを考えています。

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出発前と到着後のバスの点検・整備は細部にわたって丁寧に行います。時には、工場の整備士さんにもお手伝いしてもらい、故障等が起きないようにしています。

こいつなら間違いない

この仕事をしていて、お客さんから声をかけられるのが嬉しいですね。お客さんが降りる時に「ありがとう」とか、それが素直にとても嬉しいですね。「これ食べな」ってもらいものをしたこともあります(笑)。それに、自分が訓練中だとわかったお客さんが「この先がんばりな」って温かい言葉をかけてくれたこともありましたし、自分の緊張がお客さんに伝わったりして「気楽にやれよ」、「上手になったな、がんばれよ」って応援していただいたこともありました。ありがたいです。中学校でお世話になった先生が乗ってきた時もあって、びっくりしたけど、一人前になった姿を見せることができて嬉しかったですね。

これからは、地理も完璧に分かっていて、運転技術もこいつなら間違いないというぐらいになりたいですね。どうせやるんだったら営業所で一番というか、「運転もうまいし、こいつに聞けば分かる」、そういう運転手になりたいです。

もし、上の立場になって後輩や部下ができた時は、下の人のことはとやかく言わないで、大きな心でどんと構える運転手になりたいですね。小さなことでごたごた言わない、みんなの面倒を見るような、そういう大きな運転手になりたいです。

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交番表をもとに自分の担当の路線が決まったら、経由場所・発着所などを確認します。毎回のこの確認が確かな運転へとつながっていくのです。