しごとCHANNEL365【シゴトチャンネルサンロクゴ】

MENU

2ch

【しごとコレクション】

自分に合いそうな仕事・興味の湧く仕事を集める

main.jpg

通訳

かわくぼ まさや

川窪 匡哉さん

26歳

  • 3次産業
  • Border Vol.3
  • 娯楽
  • 男性
  • 茨城鹿行
  • 通訳

「逃げ出す」ことが一番簡単。だけど、それでは成長に繋がらない。

取材者からの紹介

小学校卒業後、単身で6年間ブラジルに留学。文化の違いや言葉の問題など様々な困難に直面するも、夢の実現のために彼は努力を惜しみませんでした。そのチャレンジ精神は、通訳となった今でも健在。常に高い目標を掲げて働いている。

やりがいは異文化交流

みんなびっくりするかもしれないですけれど、僕は小学校を卒業して単身でブラジルへ行ったんですよ。高校を卒業するまでの6年間、プレーヤーとしてサッカー留学をしていました。日本に戻ってきて、プロサッカー選手になりたいと思ってテストを受けてみたのですけれど、結局どこにも採ってもらえず、サッカー選手としての夢をあきらめることになりました。その時、若くてマネージャー業務ができてポルトガル語をしゃべれる人を探しているというチームを紹介してもらい、通訳という仕事に就きました。

この仕事のやりがいは、何といっても異文化交流です。外国の方々と接すると、日本にいては気付かないような、外国人特有の考え方や知識に沢山触れることができるんです。"日本以外のことを知る"こと、それが僕の仕事の原動力ですね。さらに、この仕事を通じて異文化交流にはもうひとつの側面があることにも気付きました。それは、"日本のことを知る"ということ。日本とブラジルではもちろん風習が異なるので、日本では常識なことがブラジル人にとっては新鮮だったりするんですね。「匡哉、どうして日本では...」と、よく聞かれるんです。そうした時、日本の風習を説明することで、自分自身が日本の文化を知る、見直す機会にもなるんですよ。僕も青春時代はブラジルで過ごしていますから、通訳という仕事を通じて改めて"日本のことを知る"ことの大切さを見つけたのは意外でした。

いかに相手に安心感を与えられるか

この通訳という仕事を通じて「いかに相手に安心感を与えられるか」、これはいつも考えていますね。この仕事で一番大切なのは信頼関係ですので、人との接し方はとても重要になってきます。僕が仕事をする上で心掛けていることは、彼らに明るく接する、ということです。ブラジルの方はみんなのイメージ通り、とても陽気で明るい方が多いんですよね。だから僕も、彼らに負けないくらい明るく接するようにしています。

僕自身、持ち前の性格がすごく明るいので、その点ではこの仕事向いてるなと思っています。僕がブスッとしていたら、「あいつには頼みづらいな、嫌だな」という印象を与え兼ねません。それはお互いにとってすごく損なことですからね。毎日笑顔で明るく働く、それが相手にとっても自分にとっても理想的なことなんですよね。

自分の言葉には責任を持て

「通訳するときに一つ一つの言葉の重みを感じろ」―。先輩通訳の高井さんに言われた最も印象的な言葉です。通訳の仕事は、僕の言葉一つでどうにでもなってしまうんです。良いようになるかもしれないけれど、悪いようにもなる。「通訳のミスはトラブルの元になる。だから責任を持って通訳しなさい」と上司が常日頃アドバイスをしてくれます。僕は"その人が思っていることを正確な日本語にして話す"という大きなプレッシャーを毎日抱えながら仕事しています。いかにこのプレッシャーを自分の力に変えていくかですね。

未だに通訳が上手くいかないこともあります。それには二種類あって、一つは、専門的なことを言われて自分自身が言葉の意味を把握できないこと。もう一つは、伝えたいのに、日本語に置き換えられない、直訳で表現できない言葉にぶち当たることです。前者に関しては、やはりもっと言葉のレベルを上げていかなくては解決できない問題なので、その度に、まだまだ勉強する必要があることを痛感させられますね。後者に関しては、なんといっても経験が重要。今は、日々の会話やブラジルのテレビ放送を見ることで少しずつ力をつけているところです。どちらの点に関しても、やはり上司の仕事ぶりはとても参考になりますから、彼らを見ることも大事な勉強です。

pic01.jpg
Jリーグ優勝シャーレを囲み先輩の長石主務と。

仕事から逃げるのではなく、立ち向かっていきたかった

通訳という仕事には、他の仕事と同じ様につらいことがたくさんあります。前に述べたように、僕の通訳のせいでトラブルが起きてしまったり、誰かが嫌な思いをしてしまったりという時です。働き始めてからしばらくの間は特に、自分の実力不足や経験不足を何度も痛感しましたね。だから、そこで辞めたいと思うことも何度もありました。だけど、「ここで辞めたらその仕事から逃げることになってしまう」と思ったんです。僕は通訳という仕事から逃げるのではなく、辞めたいのではなく、立ち向かっていきたかったんです。つらいことを一つずつ乗り越えて、新しいことを一つずつ学んでいきたいと思ったんです。「逃げ出す」ということが一番簡単じゃないですか。だけどそれでは、通訳としても、人としても自分の成長に繋がらない。だから僕は逃げません。もし、つらいことがあっても、その日思いきり飲んではしゃいで、忘れて、切り替えればいいんです。そしてまたチャレンジする。失敗を恐れずに何度でも仕事にチャレンジする。そんな風に仕事人として生きていきたいですね。

もっと成長して、いろんな仕事を任されるようになりたい

社会人になって「何が変わった?」「何が成長した?」と振り返ってみると、正直、歳を取った...それだけかな(笑)。僕はまだ中身が全然大人じゃない部分が多いんですよ。仕事中も周りのスタッフにからかわれてばかりで。だから、自分自身「ここが成長した」という実感はあまり無いです。やはり、周りに「匡哉はここが成長したな」と言ってもらった方が自分としても社会人としての成長ぶりを実感できますね。僕は褒められて伸びるタイプの人間だと思うので、上司に褒められるためにも、日々努力は重ねていきたいですね(笑)。幸い、今は上司がうまくアメとムチを使い分けてくれているので、僕も毎日新鮮な気持ちで働けています。もっともっと成長して、いろんな仕事を任されるようになりたいですね。

pic02.jpg
チームのムードメーカーでもある川窪さん。

通訳ではなくて「サポーター」

多くの人は通訳という仕事に、少々堅いイメージを持っているかもしれません。僕はその点、少し意識が違うんですよね。通訳は、人と人との密な繋がりが要求される仕事で、相手と非常に近い関係で仕事をするんですね。ましてや僕は家族対応の通訳ですから、特にそれを感じるんです。だから僕の意識としては"通訳"というよりも"サポーター"。日本語を話せない人を、コミュニケーション面や日常生活面でサポートしているんです。そう考えてもらえれば、通訳の堅いイメージも少しは和らぐかなと思いますね。

ゆくゆくはグラウンドに立って選手の通訳をして、そこで経験を積んで、機会があれば、チャンスがあれば監督の通訳をしたいです。そういう目標を常に目の前に置いて毎日仕事しています。だから、目的に向かって仕事をしていくということが働くという意味ではないかなと思います。

どの仕事にも先入観というものがあると思うし、実際働いてみるとイメージと全然違う、ということもこの世界には頻繁にあります。僕は今の仕事の環境に満足していますし、とても楽しく仕事させてもらってます。これからも肩の力を抜いて、外国人の方々のサポートをしていきたいですね。

先輩上司から一言

現場を知る。頭だけじゃなくて、まずは動いて、しっかり物事を自分で体験してみる、そこが一番大事。その積み重ねが、1つ事があっても10の物事が考えられる引き出しを増やしていきます。若い子はどんな細かいことでも、雑にせず、サボらずにどんどんやってくれれば、何かにつながっていきますね。

pic03.jpg