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【しごとコレクション】
自分に合いそうな仕事・興味の湧く仕事を集める
リポーター
きくち まい
菊池 真以さん
25歳・土浦第一高等学校出身
- 3次産業
- Border Vol.4
- リポーター
- 女性
- 放送
- 茨城県央
チームワークがすごく大事な仕事。皆で作っていけるのは、本当にありがたいことだと思います。
取材者からの紹介
大学在学中から気象キャスターとして働き始め、現在は茨城県内の放送局でリポーターとして活躍しています。日々番組のネタ探しをするなど、フットワークの軽い努力家でもあります。
話し方がとてもきれいで、素敵なお姉さんでした。
アナウンサーになりたい
高校生のときから「アナウンサーになりたい」と思っていました。テレビで活躍している気象キャスターの仕事を見て、「いいな」と思ったんです。
その後、大学に進学してから、アナウンサーとしての発音や発声を磨くスクールに通うようになりました。「就職活動だし、本気で取り組まなければいけない」と思ったのです。大学3年生の時に就職活動を始め、やがて気象会社のオーディションに合格し、気象キャスターとしてテレビの仕事に携わることになりました。
気象会社に入ってから、気象予報士の資格を取得しました。気象キャスターの仕事は、番組への出演だけでなく、天気の原稿も書くので、気象の仕組みをきちんと理解していないと原稿が書けないんです。気象予報士の試験はすごく難しくて、もうぎりぎりでしたね。大学に入る時よりも勉強したと思います。
きちんとしゃべれる人に
気象会社でキャスターとして働き始めると、「自分はすごくしゃべりが下手だなあ」と思うようになりました。ずっとやりたかった仕事なので、「長く続けていくにはどうすればいいだろう、今の私に何が足りないのかな」と考えを深めていくうちに、「天気も含めて、きちんとしゃべれる人になるには、しっかりと指導して、育成してくれる職場が良い」と思い、茨城県内にある放送局の「キャスター・リポーター募集」に応募しました。
幸い内定を頂き、放送局では、ひとまず気象から離れて、ニュースを読んだり、中継リポートをしたり、様々な放送の仕事に、幅広く携わっています。
職場を変えてからは、ますます「話して伝えることって難しいなあ」と感じています。自分が出演した番組を、後から録画をチェックして何度も確認するんですけど、「今のままの話し方、伝え方では駄目だ」と思うんですよ。「これでは視聴者の方には伝わらない」と。
例えば、私がニュースを担当して、原稿の読み方が、たどたどしかったり、つっかえたりしたら、聞いている視聴者のみなさんは、私の稚拙さが気になって、ニュースの内容が、しっかり伝わらなくなってしまいますよね。ですから、もっともっと、読んで伝えることや、分かりやすく魅力的に語ることの勉強をしなければ、と思います。
人に会って、直接お話を伺うのが一番
放送局での仕事は、大きく分けて、テレビとラジオの二つがあります。テレビでは、主に中継リポートを担当し、ラジオでは、ニュースや気象情報、音楽番組のパーソナリティなどを担当しています。
中継リポートでは、企画を考えたり、構成やコメントを練ったりするために、外に出て取材することが多いです。自分でネタを探して、詳しく事情を知っている方にお話を伺って、「提案票」と呼ばれる企画書を書きます。それをアナウンスの上司やデスクに提出して、「ここが面白いんです」などと説明し、採用されれば、本格的な準備が始まります。この準備がまた大変で、中継場所をどこにするか、何にポイントを絞って伝えるか、そのためには、どういう構成で見せていくか、コメントはどうするか...、とにかく、分かりやすく魅力的に伝えるために、いつも苦労していますね。
取材を進める上で、大切にしていることは、当事者に会って、直接、お話を伺うことです。インターネットにはたくさんの情報があって便利ですけれど、そこに書かれていることが本当に事実なのか、信頼できる情報なのかを検証するには手間がかかります。ですから、やっぱり、人に会って、直接、お話を伺うのが一番です。当事者ならではの深いお話も聞けますし、疑問に思ったことを深く掘り下げて訊ねることも出来ます。時には思いがけず、別のネタも教えて頂けることもあるんですよ。
私たちのようなマスメディアの世界には「足でかせぐ」という言葉があるんですが、あちこち歩き回って、色々な人に出会って、思いがけないネタと出会う、そうした手間を惜しまないように心掛けています。
チームワークが大事
中継の現場では、何回かリハーサルをして、それから本番を迎えます。6時からの中継だったら、午後2時か3時には現場にいるんですが、それでもギリギリです。まだ中継に慣れていない私だから、ということもあるんですけれど、いつもバタバタしてしまって、もうドキドキですね。
ディレクターが企画した中継にリポーターとして参加する時には、自分で企画した時以上に緊張しますね。その人が一生懸命に取材して、構成を練って、「さあ、菊池さん、良いリポートをしてね」って言われると、表現者として、すごく責任を感じます。本番で私が失敗したら終わりですから。テレビの現場は、チームワークがすごく大事なんです。お互いに知恵やアイディアを出し合って、より良い方向に高めていく作業は、チームワークの醍醐味です。その点、水戸放送局には優秀な先輩がたくさんいて、私は本当に恵まれていると思います。こんなに下手な私でも「じゃあ、こうしていこうよ」って皆がアドバイスしてくれるんです。こうやって皆で作っていけるのは、本当にありがたいことだと思います。
中継の中で、インタビューする時には、和やかな雰囲気で進めるように気をつけています。テレビの生放送ということで、出演者される方も緊張していますから、相手の緊張をほぐしつつ、良い言葉を引き出せるように心がけています。中継が終わった後で「ああ、放送に協力して良かったなあ」と、そう思って頂けるのが一番ですものね。
失敗なんてしょっちゅう
放送では、しょっちゅう失敗しています。初めての中継の時にも失敗しました。茶葉を刈り取る機械について、農家の方に説明して頂く、という内容だったんですが、その機械を本番直前に、うっかり片づけてしまったんですね。それに気付かず本番に突入し、私は頭の中が真っ白になってしまいました。農家の方には、目で「大丈夫、大丈夫」と合図を送ったんですが、私もとても混乱してしまいました。何とか放送を終えることができましたが、本当に冷や汗をかきましたね。
失敗して凹むこともあります。そういうときは、リポーターやキャスターをしている仲間と、情報交換したり、悩みを話し合ったりしています。やっぱり悩みが同じなのでお互いに気持ちが分かるし、それを共有するだけで気が楽になります。それと、いつまでも落ち込んではいられません。すぐに次の放送がやって来ますから。きちんと反省して、次に生かせるよう、切り替えながらやっています。
誰にも負けない専門分野を
キャスターやリポーターに憧れる人は多いと思うんですけれど、希望者が多い一方で、採用は本当にごくわずかですから、就職活動は大変だと思います。でも、しっかり準備して、諦めないで進むことで、希望が叶う確率は変わってくると思います。私もなかなか内定がもらえなくて、先生や友達に「他の業種も考えたら」と言われたんですけれど、諦めずに進んだことが良かったのかも知れません。
今後の目標は、まだ模索中です。今は、ひとつひとつこなしていくことで精一杯です。リポートもニュース読みも、全部きちんと出来るようになって、やがて最終的には「私は中継だな」「やっぱり気象情報だな」という風に、専門的なレベルに到達したいと思います。「このジャンル、テーマだったら、誰にも負けない」という専門分野を確立したいですね。
先輩上司から一言
私たちアナウンサーの仕事は、言葉と肉体を使って、様々な事を表現する仕事です。ですから、とても奥が深くて、スキルは一朝一夕には身に付きません。テレビは、そこに映る人の知識や経験、人間性まで透けて見える恐ろしいメディアです。なので、菊池さんのように経験の浅い人は、肉体的にはもちろん、精神的にも良い状態で放送に送り出さないと、心の中の不安が、表情や言葉にくっついて出ていってしまうんです。そうなると、視聴者の皆さんに、ご心配やご迷惑をおかけしてしまう。ですから、しっかりと準備させ、励まして、自信を持たせて放送に送り出すように心がけています。放送が終わったら、毎回、反省会です。びしっと課題を指摘し、課題を納得してもらって、解決の方法をアドバイスし、次に向かってもらう。そういうことの繰り返しですね。菊池さんは、叱られ方も上手だし、教えたことの飲み込みも早くて、とても反応のいい人です。しなやかな人間力を持っていて、失敗してもへこまない。素質は良いものを持っていると思います。これだけ時間と手間をかけて、大切に育ててるんですから、そう遠くない将来に大輪の花を咲かせてくれるものと、大いに期待しています。本当にそうなると良いなあ(笑)