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【しごとコレクション】
自分に合いそうな仕事・興味の湧く仕事を集める
調教厩務員
あいだ よういち
會田 洋一さん
28歳・埼玉県立越ヶ谷高等学校~専修大学出身出身
- 3次産業
- Hope Vol.6
- 娯楽
- 男性
- 茨城県南
- 調教厩務員
馬が好きじゃないと厩務員はできない。だから、すべてにやりがいを感じる。
取材者からの紹介
「競走馬の育成」という、普段私たちにはなじみのない職場で活躍していらっしゃる會田さん。現在手がけている何頭もの競走馬がレースで活躍しています。馬について語る會田さんはまさに競馬ファンそのもので、この方は馬が大好きだということが伝わってきました。大好きだからどんな下積みも楽しいと思えるし、頑張れる。さらに上を目指して日々仕事をしているその姿はとても輝いて見えました。
競馬はゲームで好きになりましたが、実際に見たことがありませんでした。しかし、あるときテレビの競馬中継を見ていたら、ゲームの世界と競馬中継の世界が全く一緒だったんです。このころから少しずつ本物の競馬に興味を持ち始め、親と一緒に競馬を観戦したことがきっかけで、どっぷりと競馬につかるようになりました。そのうちに、競馬関係の仕事について興味を持ち始めたのです。その中で一番やってみたいなと思ったのが調教厩務員という仕事でした。できれば高校を出てすぐにこの世界に入りたかったのですが、親に反対されました。しかし、この道をあきらめきれなくて、「大学を出る」という条件つきで卒業後に厩務員試験を受け、この職業に就いたのです。
試験を受けるには実務経験が必要なんです。大学在学中から乗馬クラブに入り、馬乗りや馬の世話の基礎をみっちり学んで、卒業後は牧場に住み込みで働き始めました。牧場の仕事は早朝から馬の世話や馬房の掃除などをしなければならず、毎日がハードで大変でしたね。しかし、何としてでもトレセンで働きたいという気持ちで乗り切りました。馬の世話としては、餌やりの他に、競走馬としての調教トレーニングや、体のケアを行っていました。
この時期に競走馬の扱い方を学べたことは、大きな意味があったと思います。乗馬クラブの馬と違って現役競走馬は気性が荒く、乗馬の経験があっても、最初はまともに乗ることはできません。牧場にいた頃によく言われていたのは「馬を人間に置き換えて考えてみろ」。そうやって考えることで馬の気持ちが少しだけ分かるようになったと思います。
最初から馬の気持ちが分かるわけではありませんが、分からないなりに知る方法はたくさんあります。例えば馬が怒っているサインというのは、耳を後ろに絞っているときなんですよ。逆に自分のほうを向いてれば、その人に集中している。緊張しているときは、背中が硬くなります。そういうところを感じ取れるか取れないかは、キャリアの深さではっきりと差が出ます。ベテランの人は馬の動きにシンクロしますが、下手な人は馬のバランスと自分のバランスがずれて、馬に負担がかかってしまいます。また、ベテランの人は馬へのご飯の食べさせ方も上手なんです。馬は人によって食べたり食べなかったりします。やり方を聞いてはみるんですが感覚でやっているみたいで…。これはキャリアの差だと思います。どうにかその差を埋めるために常に馬の気持ちを汲み取るように努力をしていますが、経験を増やすため、今の厩舎に移動しました。今はたくさん仕事を任され、充実しています。
うれしいと感じるのは、やはりレースに勝ったとき。日々やってきたことの集大成で、見事1着になって帰ってくるというのは、やりがいを一番感じられるときです。毎日のことで言うと、うまく調教をつけられたというときですね。また、最近になって、日々のトレーニングで馬が変わってくることも分かってきたんですよ。
昔は、先輩によく言われていましたが分かりませんでした。そのことが分かってきて、自分も少し上達しているなと感じています。
まずは「馬が好きか」、そこがないと絶対に厩務員はできないですね。朝早くて、肉体労働がきつく、働く場所は臭くて汚く、休みもないです。でも、好きだとできると思うし、達成感は大きいです。僕の場合、好きなことなので、仕事すべてにやりがいがありますね。乗っていても、触っていても本当に楽しいですよ。ただ、あまりにも馬をペットのように優しく扱う人は、調教師に嫌がられますね。人間が一人になりたい時があるのと同じように、馬も一頭になる時間が大事で、常に人が一緒にいると、馬がリラックスできないんです。馬と人間の関係は、人間の方が上に立ち、馬は人間の前では上司と部下の関係のように、どこかで気を遣っています。そうすると、リラックスできず、ストレスになってしまうのです。なので、仲良くしすぎるなと調教師によく言われますね。
中学、高校ぐらいのときは、厩務員になって、即、調教師を目指そうかなとも思ったりもしました。しかし、その前にもっとキャリアを積む必要があると思ったんです。自分は他の人に比べて経験が少なく、馬のことをたくさん知らないといけないので、次のステップとしては調教専門の職業、調教助手を経験して、馬の調教をもっと学ぶべきなのだというのが正直な気持ちです。調教助手には経験なしにいきなり就くこともできましたが、一つずつステップを踏んでキャリアを積むことが、馬を深く理解する意味でも重要。一歩一歩段階を踏んで自分自身をもっと高めていけたらと思っています。調教師のことを考えるのはそれからですね。
先輩上司から一言
彼は、熱心。分からない事をそのままにせず、すぐに相談をする。よく言う“ホウレンソウ”(報連相)ができている。素直だから、他人の言う事を受け入れ、咀嚼(そしゃく)することができるんですよね。どの社会でも一緒だけど、一生勉強。知識を頭に入れて、実体験で学ぶ。今の時代は教えられるだけじゃなくて、いろんな書物から学び、自分が実体験をして、本で読んだことはこういうことか!という気持を大切にして欲しい。