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【しごとコレクション】
自分に合いそうな仕事・興味の湧く仕事を集める
救急救命士
すさ やすひろ
諏佐 泰裕さん
26歳・石岡第一高等学校〜国士舘大学出身
- 3次産業
- Hope Vol.7
- 公務
- 救急救命士
- 男性
- 茨城県南
苦しんでいる人を助けられる仕事に就きたい。夢を叶えるチャンスは自分の手の中にある。
取材者からの紹介
明るくとても気さくな諏佐さん。その素敵な笑顔によって安心できた患者さんも多いと思います。取材では、患者さんを本当に大切に考えていらっしゃることが話の端々から伝わってきました。また目標に向かい、どんな困難も乗り越えようとする気持ちの強さもお持ちの方です。高校時代から夢に向かって努力してきたという彼の姿に、積極的に行動することの重要性を感じました。
手助けできなかった悔しさ、それがきっかけに
救急救命士になりたいと思ったきっかけは、高校2年生のときに母親が救急車で運ばれたことです。命に関わる病気ではなかったのですが、激痛を伴うような症状で救急要請をしました。その時、母親が苦しんでいるのに自分は何も手助けすることができませんでした。それが悔しくて、「苦しんでいる人がいる時に何かできるようになりたい」と思いました。それまでは「人の役に立てる仕事に就きたい」と漠然としか考えていなかったのですが、このことがきっかけで救急隊になりたいと強く感じるようになりましたね。救急隊は、医者や看護士よりも早く傷病者のもとへ行って処置観察をすることができます。そこに魅力を感じ、資格が取れる大学を探して進学しました。この仕事に就けた時は本当に嬉しかったです。
現場での失敗は許されない、日々の訓練が重要に
救命士は体力だけでなく知識や経験、そして「絶対に助ける」という強い気持ち、臨機応変に対応していく力が求められます。また技術や知識があっても、現場で適正な判断ができなければ意味がありません。例えば腹痛を訴えて救急要請をした方に心電図モニターを貼ってみると、ただの腹痛ではなく実は心疾患だったということもあります。常に気をつけているのは、決して思い込みはしないようにすることですね。
現場で臨機応変な対応ができるようになるには、日々の訓練が大切です。繰り返し訓練をして技術を確実に身に付けることで、災害時に適切な対応ができる能力を養います。現場での失敗は絶対に許されるものではありませんが、先に訓練で失敗することは市民の命や財産、自分や仲間の命を守るためには大事なことです。その失敗により原因を冷静に分析し改善策を立て、訓練を重ねます。改善策は隊全体で共有していくことで、連携をつくり上げています。こうした訓練を積み重ね、現場で迅速かつ適切な対応ができるよう備えています。
接する相手によって、柔軟に対応することが大切
仕事を通じて一番成長したのはコミュニケーション能力ですね。学生の頃は同年代の人と一緒にいることがほとんどだったので、話し方などを意識することはありませんでした。しかし働くようになると、そうはいきません。特にこの仕事は、救急車で生後間もなくの新生児から高齢者まで、あらゆる方々を突然の病気や怪我をされた状態で搬送します。使う言葉や言い方、態度ひとつで、相手の態度が変わることもあります。例えば小さい子は救急車に乗ることを怖がりますが、顔が見えるだけでも安心してくれるので、子どもを救急車に乗せる時はマスクや帽子を取るようにしています。また敬語を使いすぎると相手と壁ができてしまい、どんな症状で苦しんでいるのか、いつから自覚症状があるのかなどの重要なことが上手く聞き出せないことがあります。接する相手によって柔軟に対応することが大切です。最初はマニュアルのような話し方でしたが、先輩からの指導や訓練を通じ、相手の年齢や救急要請した背景に注意して話し方や説明の仕方などの使い分けができるようにな
「ありがとう」の言葉で、次もまた頑張ろうと思える
救急の仕事は、いくら自分の処置が上手くいったからといっても決して喜べるものではありません。救急要請があるということは、誰かが苦しんでいるということですから。むしろそれが当たり前のことなのです。社会に貢献している、こうした気持ちが大きいと思います。それでも、「助けてくれてありがとう」や「この間はすみませんでした」などの言葉をかけてくれた時は、やはり嬉しいですね。市内で講習会を行うことがあり、前に救急車に乗せた方が「おかげ様で元気になりました」と声をかけてくださって。“次もまた精一杯頑張ろう”改めてそう思える瞬間でしたね。
ほんのわずかな可能性でもそれを信じ、決して諦めない
毎日の仕事の中では、落ち込んだり挫折感を感じることもあります。でも自分は日々挑戦することを忘れない、成長していく社会人でありたいです。夢を持ち続けていれば必ず叶うと信じているので、諦めない心と高い目標を持って、同じ気持ちの仲間と努力し続けていきたいですね。諦めてしまうのは「環境が悪い」とか「私の性格はこうだからできない」とか、自分自身で適当な言い訳をしてしまっているからだと思います。諦めなければ、夢を叶えるチャンスは自分の手の中にあるのです。
時には、救急現場では人が亡くなってしまうこともあります。病院でなら先生によって死亡確認をするような状況でも、自分たちは絶対に諦めたくありません。助かるかもしれないという状況のとき、結果的には亡くなってしまう可能性の方が高くても、途中で自分たちが投げ出すことは絶対にできません。ほんのわずかな可能性でもそれを信じ、最初の119番からAEDでの処置、そして救急隊に引き継ぎ、病院で処置するという「救命のリレー」を途中で切らないよう、これからも精一杯頑張り続けていきたいです。
先輩上司から一言
若手に対しての取り組みは、「救急現場では他人と思わず自分の家族だと思って対応しなさい」と指導しています。自分でも行動していないと若手や他の職員たちは付いて来ませんから、口で言うだけじゃなく、自分が手本となって実際にやって見せることが上司の役目です。諏佐は力もあるし気も優しく、素直なところが一番のいいところですね。それに高校生の頃からこの仕事をしたいと思い、夢と希望をもって入ってきているので、モチベーションが高い。一生懸命やっているので、今のままで、そのままでいてもらいたいですね。経験を積みながら、変にこだわらず一生懸命頑張ってほしいです。