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【しごとコレクション】
自分に合いそうな仕事・興味の湧く仕事を集める
セレモニーアテンダント
おおもり みゆき
大森 美幸さん
28歳・鉾田第一高等学校〜常磐大学出身
- 3次産業
- Hope Vol.7
- セレモニーアテンダント
- 冠婚葬祭
- 女性
- 茨城県央
小さい頃からずっと想い続けてきた仕事だから、今では本当によかったなと思える。
取材者からの紹介
大森さんはとても明るく、たくさんの私の質問にも一つひとつ丁寧に答えてくださる優しい方でした。大学時代にゼミの合宿係としてプランを立て全体を仕切った経験が今の仕事にも活かせているそうです。またお寺ノートの作成を入社してからずっと続けているという、彼女の継続力にとても驚きました。幼い頃から憧れていたこのお仕事に対する強い想いが伺えるインタビューとなりました。
きっかけは幼い頃の出来事、「この人たちみたいになりたい」
幼稚園生のときに私の祖母が亡くなり、自宅でお葬儀をあげました。そのときに黒い服を着た人たちが、ふすまを外して会場のセッティングをして、お葬儀について説明をしていたんです。その説明では、ご遺体の向きや焼香の仕方、お線香でのお参りの仕方など普段聞きなれないことを話していました。当時、言葉を覚え始めたばかりの私は、とても興味をもって会話を聞いていたんですよね。母に「あの人たちはどんな人なの?」と聞いたときに、「世の中には葬儀屋さんという職業があるんだよ」と教えてくれました。この出来事がきっかけで、「私はこの人たちみたいになりたい!」と思うようになったんです。それからは、ずっとこの仕事に憧れをもっていましたね。
大学で就職活動の時期を迎えた頃、この葬儀の仕事に就くために何をすればいいのかが分からず、ゼミの先生に相談をしたんです。先生からは葬儀社でアルバイトをしてみるか、そこで働く人の話を聞いてみたらどうかとアドバイスをもらいました。私はすぐに葬儀社を調べ、問い合わせてみることに。するとその会社の社長が快く受けてくださって、葬儀の仕事内容などを詳しく聞かせてくださいました。さらに「お通夜があるので、見に来ていいですよ」と言ってくださり、実際に見学にも行かせていただいたんです。その後はますますこの仕事をやってみたいと思うようになり、別の葬儀社で数ヶ月間アルバイトを経験し、大学を卒業してからは今のこの会社で働いています。
心を込めた気配りが常にできるよう心がける
お葬儀が発生した場合、私は施行担当者として、ご遺体の搬送からお葬儀など一切を取り仕切ります。担当先ではお客様との打ち合わせで、お葬儀の日程を決め、次に納棺し、どのようなお葬儀にしたいのか要望を伺いながらお通夜や告別式の内容などの打ち合わせを行います。お葬儀の内容については、お棺や壺など決めることがたくさんあります。ご当家様がかなり混乱している中でのご案内なので、後々、お葬儀の決定事項やお値段について話の食い違いがないように気をつけて行います。打ち合わせの後には30枚にもなる発注書を作成し、お寺にも伺います。忙しい時期には担当している2件を並行して進めることもあるので、時間の調整が大変ですね。式では暑そうにしている方にお声かけをしたり、喪主さんがご用のあるときに目配せをしてくださったりするのでそれにすぐ気づけるよう、常に周りに注意して進めています。亡くなられた方との最後の時間を過ごしていただくので、打ち合わせや段取り、お値段やお葬儀などすべてにおいて、皆さまに心を込めた気配りができるよう心がけています。
入社してからは覚えることがたくさんありました。入社1年目の葬儀事務では、電話応対の上手な人が電話しているときに、こっそり聞いて話し方や受け答えの真似をしていました。お客様との打ち合わせも最初は先輩と一緒に行くのですが、一人で訪問するようになると個々のお寺の細かいことなど分からないことが出てくるんです。その度に先輩に電話して確認していましたね。たくさんあるお寺を覚えるために始めた、それぞれのお寺の特徴や場所を記録しているノートも4冊目になりました。今では、どのお寺が何冊目のノートのどの辺に記録されているか頭に全部入っているので、すぐにお客様の質問に対応できるようになりましたね。
憧れていた職業に就くことができたから、続けられる
お客様から「ありがとうございます」と言っていただいたり、お礼のお手紙を受けとったりすると“やりがい”を感じます。以前、海外在住の方が日本に住むお父様を亡くされ、お葬儀を担当をさせていただいたのですが、後日「父の死は、大森さんとの出会いのきっかけを作ってくれるものでした」とわざわざ海外からメールを送ってくださったんです。それを受け取ったときは本当に嬉しく、まだまだ知識や経験不足の私を大きく勇気づけてくれました。今でも心に温かく残っていて、私の糧となっています。
このような経験はもちろんなのですが、私がこの仕事を続けられるもう一つの理由は、やはり小さい頃からずっと想って憧れていた職業に就くことができたからだと思います。この仕事を選択するときに、親に「大変だよ」と言われたり、親せきから別の職業を勧められたりしたことがありました。でも小学生のときに自ら希望してお寺へ旅行したこと、般若心経というお経を暗記したことなど、この仕事に対する気持ちはずっと変わらず強かったんですよね。だから、やっぱり自分がやりたいことをやろうと決意したんです。この仕事に就けたことを、今は本当によかったなと思っています。
プロとしての誇りを持って、経験を重ねて成長していきたい
この仕事では、いろいろな方がお客様になるので、どのような方でもきちんと対応できるようになりたいですね。お客様がとても偉い方のときや、普段とは違う地域、特別なお葬儀を担当するときには少し自信がない話し方をしてしまいそうになります。どんな時にもプロとしての誇りを持ってきちんと伝えられるように、これからまた経験を重ねて成長していきたいです。
先輩上司から一言
二大儀式である葬祭は、亡くなった方を扱う特殊な仕事です。入社試験を受けて入ってきても、実際に仕事をしてみると精神的に大変だと思います。ドラマや映画のようにかっこいいことばかりじゃないので、描いていた理想と現実にギャップを感じるかもしれません。この仕事を続けていく上では、“ご遺族が故人をどう送りたいのか、どのようにしたらご遺族の方々をケアできるか”といった、想いが重要です。
私たちはご遺族だけでなくお寺さんとも接しますが、彼女はその1件1件を細かくノートに書いて記録しているんです。スタッフがそのノートを拝借して参考にさせてもらうこともあり、会社としても貴重な資料となっています。一生懸命な彼女の姿を後輩たちが見ていると思うので、途中で諦めずにこれからも頑張ってやっていってほしいですね。