2ch
【しごとコレクション】
自分に合いそうな仕事・興味の湧く仕事を集める
飲食店オーナー
あまがい よしのり
雨貝 佳紀さん
27歳・那珂高等学校出身
- 3次産業
- Hope Vol.7
- 男性
- 茨城県央
- 飲食サービス
- 飲食店オーナー
休みながらでも、目標に向かって一歩ずつ歩み続ければ、自分の進むべき道は必ず見えてくる。
取材者からの紹介
茨城大学のほど近くに、隠れ家的な存在の雰囲気の良いバーがあります。その店のマスター、雨貝さんは初めてのお客さんに対してもあっさりと心を開いて応対してくれるとても気さくなお人柄。悩みを打ち明ければ、ときには真剣に耳を傾け、ときには冗談を言って元気づけてくれたり…。恋に進路にサークルに、悩みがちな大学生にとっては「お兄さん」のような存在です。他のお店とは違い、テーブルよりもカウンター席の方が先に埋まってしまうのも、納得できますね。
よく通っていた店がきっかけに、現場から育った夢
この仕事を始めるきっかけは、高校生のときでした。当時よく通っていた店の雰囲気がすごく好きで、自分も将来こんな店を出せたらいいなと漠然と思っていました。もともと料理には興味がありましたし、焼き肉屋で調理補助のアルバイトをしていたこともきっかけの一つになりましたね。その店の料理長に進路について相談したとき、「自分できちんと勉強すれば、現場の力や料理の腕は身に付くから、学校には行かなくてもいい」というアドバイスをもらったんです。その頃の自分にとってその一言はとても大きく、すぐに就職を決意。卒業後は専門学校などには通わず、すぐにその店で社員として働き始めました。
「アルバイト」と「社会人」、働くことを意識した下積み時代
社員になると仕事に対する意識が一気に変わりました。アルバイトのときは一つひとつの調理にあまりこだわらず、流れ作業でこなしていたところがあったんです。それが社員になってからは、食材の状態によって仕込み方や火加減を変えたりと細かなところまで気にかけるようになりました。また、仕事の優先順位もしっかり考えて行動するようになりましたね。先輩たちも急に厳しくなったので、「アルバイト」と「社会人」は全然違うんだなと実感しました。
焼き肉屋では約2年働いてから、一度は働いてみたいという強い憧れがあった東京の神楽坂の店で3年ほど経験を積みました。その店の料理長には今でも頭が上がりませんね。人柄はもちろん、料理長が造り出す料理の品々はどれも素晴らしく、私は知識と技術にすっかり惚れ込んでしまいました。貴重な時間を過ごさせていただきました。現在の自分の料理も、その頃のものがベースとなっているので非常にありがたく思っています。
挫折を乗り越えて手に入れた「自分の店」
東京で修業した後は地元に戻り、また別の店で調理の仕事をしていたのですが、途中で挫折も味わいました。18歳のときからがむしゃらに前だけ見て走り続けてきた足が、なぜか急に止まってしまったんです。特にはっきりとした理由があったわけではないのですが、「俺には無理だ」って、ふと自分に自信がなくなって…。その後は転職し、食品配送の仕事をしていました。しかし2週間ほど働いた時点で、自分はサラリーマンには向いてないと気づかされたんです。おかげできっぱりと腹をくくることができ、「何がなんでもお金を貯めて、店を開こう」と決意しました。それからは夜間にアルバイトも入れて、一時はトリプルワークもするような日々が続きます。月に10万の貯金を自分に課し、仕事をしながら休日には店を開くための情報収集も行っていました。個人商店や飲食店の方に手続きの相談にのっていただいたり、どこにいって何をすればいいのかを教えてもらいましたね。
そんな生活を続けた約2年半後、ようやく店を出せることになったんです。そこに辿り着くまでは大変でしたが、「店を出す」という自分の目標が形になったときは本当に嬉しかったですね。
経営者としての仕事の「メリット」と「デメリット」
店を出すことは、家族には一言も言っていませんでした。「料理に携わりたい」という話はしていたのですが、後々のことには何も触れていなかったんです。店を出す話がまとまってきた頃、はじめて両親に話をしました。結果は「何を考えてるんだ!」と猛反対でしたが、「迷惑はかけないようにする」「3年やって、もしダメだったら潔く閉める」と言って、ひたすら頭を下げました。もともと自分の中でも、30歳を区切りにしようと決めていたんです。そこまでに結果を出せなければ諦める覚悟でした。
自分で店を経営することには一長一短あります。メリットは、やったらやった分だけ自分の収入になること。サラリーマンだとなかなかそうはいきませんよね。デメリットは、困ったときに道筋を示してくれる先輩や上司がいないこと。そして成果だけではなく、失敗もすべて自分にかかってくることですね。最近はあまりないですが、開店当初は暇な日が続くと胃が痛くなるほど不安な時期もありました。「今月は厳しいかな」とか、悪い方向に考えてしまうことも。ただ、それも1年経つ頃には「悩んでも仕方ない、自分がやれるだけのことをやろう」と思えるようになりましたね。
自分で限界は決めずに一歩ずつ前進知ることが大事
自分の進むべき道を行くには、まずは何事も目標を決めることが大事だと思います。次はそれに向かって、ちょっとずつでもいいから前に進んで行く。疲れたら途中で止まってもいい、休みながらでも一歩ずつ前進していくことが大切です。「自分に向いてない」といった理由で自分で限界を決めてしまわず、まずはチャレンジしようという気持ちが重要なんだと思います。これから就職する人には、諦めないでほしいですね。努力すれば、できない仕事なんてないと思います。
自分も辞めたくなる瞬間はありますが、そういうときは初心を忘れないようにしています。“高校生の自分が、なぜ自分の店をもちたいと思ったのか”それをくじけそうになったら思い出しています。その繰り返しですね。もう嫌だと思っても、ちょっと頑張ったら先が見えてきて、「もう少し頑張ってもいいかな」という気になれる。これからも浮き沈みに負けず、努力し続けていこうと思います。