2ch
【しごとコレクション】
自分に合いそうな仕事・興味の湧く仕事を集める
消防職員
ふじさく なるみ
藤咲 成美さん
20歳・水戸第二高等学校出身
- 3次産業
- Hope Vol.8
- 公務
- 女性
- 消防職員
- 茨城県央
遠回りでもいい。 夢を目指して一歩ずつ。
取材者からの紹介
消防士を目指して消防署の職員になった藤咲さん。若くして男性が多い職場で働く彼女からは、芯の強さが感じられました。現在の職務内容は希望したものではないとのことですが、それでも危険物に関する法律などを一生懸命勉強して、市民の安全のために懸命に働いていらっしゃいます。火事を未然に防ぐために、仕事を全うしようとする姿勢が素晴らしいと思いました。
私が緊張していたせいでリラックスした雰囲気にできず藤咲さんの話を引き出すことが難しかったのですが、火災予防業務について詳しく教えていただきありがたかったです。私たちの知らないところで火災は防がれているんだと思いました。
消防士になりたかった
最初は消防士になりたくて採用試験を受けました。消防士が訓練に励む姿や、消火・救助活動を行っているシーンをテレビなどで見て、昔から強く憧れていたからです。人の命を助けるために訓練し、危険な現場でも強い使命感を持って立ち向かう仕事に魅力を感じ、自分もその一員として役に立ちたいと思い志望しました。
今は事務系の仕事に配属されていますが、この仕事にもやりがいを感じています。事故が起きてから被害を最小限に抑えることも重要ですが、そもそも事故を起こさなければ被害はゼロですから。火災が起こってから駆けつける仕事ももちろん大切ですが、何よりまずは火災を起こさないことが重要だと思います。消防隊や救急隊と違って今は目立たない仕事内容ですが、火災を未然に防ぐことで地域や皆さんの生活を支えています。自分がした仕事で火災が防げていると感じられることが嬉しいですね。
生活に身近な仕事
今は危険物を専門で担当しています。水戸市内の危険物施設の立入検査に行ったり、新しく危険物施設をつくる際の申請の審査や許可を出したりしています。危険物施設で一番身近なものはガソリンスタンドですね。立入検査の際には、消防法上に定められた定期点検を実施しているかどうか、無許可での変更等がないかどうかなど、適正に維持管理がされているかをチェックします。意外なところでは、ホームセンター等にある灯油の詰め替え所なんかも危険物施設に含まれます。新しく危険物施設ができる際には、位置・構造・設備等が基準に適合しているかを審査し、完成するまでにも数回現場に検査へ行ったりします。そうして自分が最初から携わった施設が、地域の方々に利用されているのを見守っていけることも、この仕事の魅力の一つです。皆さんが気付かないところで、生活に密接に関わっている仕事なんです。
基本的には危険物に関する法律は全て覚えておかなければならないのですが、分からない部分は「危険物六法」という法律が全て掲載されている本を読んで、確認したり勉強したりしています。新たに危険物の品目が追加されることもあって法が改正される場合もあるので、常に勉強は欠かせません。
現場で仕事がしたい
今の仕事で経験を積んで異動ができれば、現場での仕事がしたいと思っています。「難しいだろう」とは言われますが、まずは大型自動車の免許を取って機関員(消防車の運転手)になるのが一番の近道だとも言われますね。消防車の運転には特別な資格は必要ないのですが、いち早く現場に向えるように地理や水利を熟知することが必要です。女性だからといって体力が劣っていていいというわけではないので、しっかりと訓練し、現場での知識や技術を身に付けることが求められると思います。
予防業務の重要性
日ごろの勉強が大切ですね。消防で危険物の係があることさえ知らない状態で危険物担当になったので、最初は何が何だか分からず、一から勉強するのが本当に大変でした。いつもは独学で勉強したり、先輩に教わりながら知識を増やす努力をしていますね。立入検査の際に分からなかったことはすぐに調べて、しっかり覚えられるように復習しています。危険物担当になったころは戸惑うこともありました。実際に働いてみたら自分が想像していたような仕事ばかりではなかったからです。でも、火災や災害が発生してから被害を最小限にとどめるのではなく、未然に防ぐ今の仕事は非常に重要な業務だと思います。そして、市民の安心・安全を守るという一翼を担っていることにやりがいを感じますね。「一番は事故を起こさないこと。予防業務に携われるのは消防職員の中でも限られた人しかできないから、その面で誇りを持てる仕事だ」という先輩の言葉を聞いて、今では「予防業務を頑張ろう」という強い気持ちで仕事をしています。
安心して暮らせる環境づくりを
働く上で心掛けていることは、書類を見るにしても建物の検査をするにしても、法による根拠を間違えないようにすることです。法律をもとに検査でひっかかる項目をチェックし、説明して改善をしていただきます。なので、自分がしっかり熟知しておかないと指摘することはできません。間違ってはいけないし、知らないでは済まされない仕事です。
この仕事を通して、自分の仕事に責任を持つようになりました。学生のときとは違って、自分がしてしまったミスは自分だけのミスでは済まされないですから。学生のときは失敗しても、損をするのは自分だけだという甘えがあり、許されることも多かったと思います。しかし社会に出ると個人としてではなく組織の一員として見られているので、周りや組織全体に迷惑をかけてしまうことにもなります。それに何より、チェックや指導を怠ったら重大な事故につながりかねないので、最悪の事態を想定して事故や火災が起こらないように規制していくことが大切ですね。今後も「市民が安心して暮らせるまちづくり」に携わる一員であるということを自覚して、その環境を築いていきたいです。
先輩上司から一言
予防課の仕事は、いわゆる法に基づいた規制事務です。藤咲さんの場合、危険物施設の規制の事務ですので、法の内容をよく知ること、そしてそれを一般の利用者の方または事業者の方に間違いなく説明して、正確・安全に施設を運営または設置させることが目的です。法の内容の熟知もそうですし、女性でありながら一般の方に対しても厳正な態度で接することが求められますね。
消防は男性の職場というイメージのある中、彼女はそこに飛び込んでくる勇気があり、意志が明確になっているので安心できます。これからも女性であることは忘れずに小さな心遣いを大切にして、仕事をしていってほしいですね。