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【しごとコレクション】
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赤十字職員(命を守る講習普及)
ほうじょう たかゆき
北條 敬之さん
27歳・緑岡高等学校〜茨城大学出身
- 3次産業
- Hope Vol.8
- 男性
- 茨城県央
- 複合サービス
- 赤十字職員(命を守る講習普及)
想いと正しい技術を伝え、助け合う手段を広めたい。
取材者からの紹介
受講者の役に立つ講習をしようと、様々な経験・知識を積んでいる勉強熱心な北條さん。仕事をしている中での大変だったことを、新しいことを知る良い経験だったと前向きに物事に取り組む姿勢があるからこそ、地域の方や職場の上司・同僚の方から信頼を得ているのだと感じました。彼の明るくまっすぐに仕事に向かう姿がとても印象的でした。
「仕事の取材だから」ということで、北條さんが何回も服装を変えてくださいました。写真を通して、赤十字社の仕事が多岐に渡ることが伝わると思います。企業さんにHopeの意図が伝わり実現した取材なので、自分一人で記事作りをしているのではなく、企業さんと一緒に記事を作っているんだと感じた瞬間でした。
工学部から赤十字社へ
赤十字を知ったきっかけは、献血でした。大学時代、キャンパス内に献血バスが来ていて、献血を初めてやってみたんです。その時に献血を呼び掛けている学生の姿を見て、こんな活動もあるんだと思っているうちに、気付いたら自分も大学にある赤十字のボランティアサークルに入っていました。
大学を選ぶときは「モノを作る仕事がしたい」と思い、工学部に入学しました。しかし、学生生活の中で赤十字と関わるうちに「将来、こんな仕事もいいな」と思うようになり、採用試験を受けてみました。研究室の先生から、「就職活動はどこを受けているんだ」と聞かれたときに「ニッセキ(日本赤十字社の略称)です」と答えたら、石油関係の企業だと勘違いされたこともあります(笑)。“赤十字”ということを説明すると、工学部の学生が採用されるのか心配されましたが、赤十字社の採用試験は学部問わず受けることができたので迷わず挑戦してみました。
大学で学んだことと今の仕事内容は大幅に違います。ですが、研究中に研究室の先生や仲間と意見交換をしたり、人の話を真剣に聞いていたことは、今の仕事に活かせていると思います。
赤十字マークの想い
現在は、心肺蘇生やAEDの使い方を学ぶ“救急法”などの講習を、企画し運営する部署にいます。業務としては、ボランティアで来てくださる講習指導員の方に講習の依頼をするほか、受講者の人数確認や電話対応、文書作成などもしています。講習指導員はボランティアさんを中心に構成されていますが、自分も指導員資格を持っているので、私自身が担当することもあります。講習では、対象に合わせて講習の進め方や話し方を変えるようにしています。例えば、資格を取りに来ている方でしたら技術を確実に身に付けてもらえるような工夫をし、学生さんでしたら難しい言葉を使わずに楽しく学んでもらえるような工夫をしています。講習が終わった後、受講者から「ためになった」「楽しかった」という声が聞けると、嬉しくなりますね。
一般の方から見ると、赤十字は病院や献血のイメージがあると思います。自分も昔はそう思っていましたが、実際には今自分が担当している講習の仕事など、患者さんを直接助ける仕事以外にも多くの活動を行ってます。それぞれの仕事内容は違っていても、このマークを見ると「同じ赤十字だ」って思うんですよね。私は講習を通して、「苦しんでいる人を救いたい」という赤十字社の想いを伝え、講習で学んだ技術をしっかり実践できる人材を育成していきたいですね。
地域に必要とされている
東日本大震災のときは、災害救護をする部署に所属していました。まさに、災害のときに働く部署です。普段から災害が起きたときの業務計画を作ったり、救援物資を災害時に迅速に配れるよう準備や訓練を行っていました。
震災が起きてからは、被災地の状況を調べて医療チームをどこに派遣するか、救援物資をどこに配るかなどの調整業務を行いました。今回の震災は被害が広範囲に渡っていたので、訓練とは違った状況の中での仕事でした。固定電話が使えなかったので、衛星電話や災害時優先電話を使用して情報収集をしたり、県の災害対策本部がある茨城県庁に行って情報を集めたりすることもありました。県庁での仕事中、赤い救護服を着ていたら、一般の方から「頑張ってください」と声を掛けていただいたんです。直接声を掛けてもらえたことで、赤十字社が地域に必要とされていることを実感し、その一言で「よし、頑張ろう」と思えたんですよね。被災地の方はもちろん、応援してくださっている方のためにも、医療チームを被災地へ迅速に派遣する自分の仕事を精一杯やろうという気持ちで、最後までやり遂げることができました。
地域を支え、命を守る
今までは、どこか一カ所で災害が起きるようなイメージが強かったんですが、今回の震災を経験し、いつどこで災害が起きてもおかしくないんだということを改めて実感しました。だからこそ、災害に対して万全に準備していかなければなりません。応急救護ができる人材は、医者や看護師のような専門家につなぐ、地域にとって重要な役割を担っています。災害や事故が起きたとき、地域で助け合う手段として救急法などの技術を活用してほしいと思い、様々な講習の企画に取り組んでいます。
そのため、普段の勉強は必須です。全国で決まっている講習の方法はもちろんのこと関連するものも勉強し、受講者の質問に答えられるようにしています。もし講習中に自分が事実と違うことを伝えてしまったら、「赤十字の人が言っていたから」と間違ったことが広がってしまいます。このようなことが起きないように、しっかり勉強して正しい知識を伝えることが社会人としての責任だと感じています。
今後もベテラン指導員の技術を少しでも多く吸収し、今まで以上に楽しく分かりやすい講習を地域の人のために実施していきたいです。講習に行ったときに「よく来てくれました!」って歓迎してもらえるような指導員になりたいですね。
先輩上司から一言
赤十字が地域や災害復旧のためにいろいろな仕事をさせていただくのは、ご家庭から、あるいは企業さんからちょうだいする寄付金が活動資金になっているので、信頼を寄せていただいているのが前提なんです。皆さまのお気持ちに応えていくためには、私たちが本当に心のこもった仕事をして私たちの想いを伝えないと、皆さまからのご協力は得られないと思います。彼には特に“気持ち”を、“心”を届けられるように仕事をしようと話しています。彼は学生時代からボランティアとして献血や施設訪問に携わっていたので、私もよく知っていました。明るくて心の持ちようが穏やかでいられることは彼の強みでしょう。東日本大震災の救護活動では、十分に実力を発揮してくれました。今後は不慣れな仕事にも挑戦していくのでしょうが、みんなの力を借りながら成長していくことを忘れないでほしいですね。